【社説①・03.06】:改正育児休業法 柔軟な働き方の実現を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.06】:改正育児休業法 柔軟な働き方の実現を
子どもの「共育て」を支える職場と柔軟な働き方を広げたい。
子育てと仕事の両立支援を強める改正育児・介護休業法が4月から段階的に施行される。子が3歳以降の支援が手厚くなる。
育児中の残業免除を現行の3歳未満から小学校入学前までに広げる。子が病気などの際の看護休暇は3年延ばして小学3年までとし、対象範囲も入園・卒園式や感染症に伴う学級閉鎖でも利用できるようにするとした。
鍵を握るのは企業の環境整備だ。3歳未満の子を持つ従業員がテレワークを選択できるようにすることが努力義務となる。さらに10月以降、3歳から就学前までは、テレワークや時差出勤、短時間勤務といった五つの働き方から二つ以上の選択肢を用意する必要がある。
職場の制度や環境を整えつつ、多くが女性に偏っている育児負担の是正も欠かせない。
改正法では、男性の育児休業取得を促すため、取得率の公表が義務となる対象企業を、現行の従業員千人超から300人超へと広げる。
男性の育休取得は2023年度で3割と過去最高になったが、女性の8割と比べると隔たりは大きい。取得期間も1カ月未満が大半である。
制度上の権利にとどめず、周囲に気兼ねなく取得できる仕組みや支援体制が求められよう。業務を引き継ぐ職場の同僚に手当を支給する企業もある。
不当な配置転換や労働条件の切り下げなど、取得者が不利益を被ることもあってはならない。
子が3歳になる前には、勤務時間や勤務地、就業条件などに関する個別の意向聴取も義務化された。十分な意思疎通と配慮を求めたい。
育児と仕事が両立できる環境づくりは人手不足の中、企業にとっては離職を防ぎ、新たな人材確保につながる。
一方、テレワークなどの環境整備が難しい職種もある。中小企業は資金や人員の余裕が十分でない。業務分散や育休の分割取得をはじめ、職場ごとでの工夫や後押しが肝要だろう。
子育てを巡る課題は、小学生以降も山積する。
学童保育(放課後児童クラブ)は預かり時間が保育園より短く、両立が困難となる「小1の壁」が問題となっている。近年は不登校の子も増加している。きめ細かな支援の検討が必要だ。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月06日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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