【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ
通常国会が開会した。
少数与党の石破茂政権は予算や重要法案の成立に向け、手腕が問われる。与野党は党利党略でなく、開かれた議論を通じ、一致点を見いだす新たな立法府の姿を示してもらいたい。
石破首相がきのう、就任後初めての施政方針演説を行った。
「戦後80年は民主主義を考える年」とし、「党派を超えた合意形成を図るため、与野党とも責任ある立場で熟議」する必要を訴えた。就任以来、言葉に行動が伴わないことが目立つだけに、今度こそ正念場となる。
まず過去最大の総額115兆円に上る2025年度予算案の審議が焦点だ。規模ありきの防衛費や経済対策、増大する借金財政のリスクを中心に厳しいチェックが欠かせない。
石破氏は昨年の臨時国会で補正予算案を28年ぶりに修正し、25年度予算案も修正に応じる構えを示す。予算委員長のポストを握る立憲民主党をはじめ、野党の責任は重大である。
与党は「年収の壁」で国民民主党、「教育無償化」で日本維新の会の取り込みをうかがう。
懸念されるのは、今夏の東京都議選、参院選を控え、「手柄」の分捕り合戦になることだ。密室協議で与党と取引し、予算賛成の「手打ち」を図るようでは、国民の不信を招こう。実現への財源も含め、国会を足場に論戦を交えてほしい。
施政方針では「楽しい日本」の実現を掲げ、看板政策の「地方創生2・0」を「令和の日本列島改造」と位置づけた。大きく時間を割いたが、フレーズだけが躍っている感は否めない。
地方の英知を集め、権限や財源の裁量を増やす抜本改革こそ求められよう。
疑問なのは、与野党が3月末までに結論を出すことで合意した企業・団体献金の扱いなど、「政治とカネ」を巡る問題に言及が乏しかったことである。
自民党派閥の裏金事件に続き、東京都議会自民会派でも同様の事件が発覚し、問題の根深さが浮き彫りになっている。
しかし、衆参の政治倫理審査会でも裏金関係議員らは当事者意識のない答弁を繰り返し、真相は明らかにされていない。
野党が求める安倍派会計責任者の参考人招致などにも、自民は後ろ向きだ。虚偽答弁が刑事罰に問われる証人喚問を含め、強制力のある調査に切り替えるべきではないか。野党の連携を求めたい。
自民の一部を除き推進の声が高まる選択的夫婦別姓制度の導入、持続可能性が懸案の年金改革を巡る議論も注視したい。
就任早々、内外に波紋を広げるトランプ米大統領を巡り、石破氏は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べたが、持論の地位協定の改定に触れなかった。多国間協調の強化を含め、与野党で外交戦略を更新してほしい。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月25日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます