【政界地獄耳・12.05】:非常戒厳令にソウル市民が集結し抵抗 強く残る光州事件の記憶
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.05】:非常戒厳令にソウル市民が集結し抵抗 強く残る光州事件の記憶
★韓国の大韓民国憲法は1948年に制定。李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)といった軍事政権下や、ソウル五輪直前の民主正義党代表委員・盧泰愚(ノ・テウ・のちの大統領)が87年の「6・29民主化宣言」して行われた改憲まで実に9回の改憲が行われている。現在の第六共和国憲法第77条第5項によると「国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない」とある。元検事で検察総長まで務めた尹錫悦(ユン・ソンニョル)がそれを知らぬわけもなく、韓国大統領府・青瓦台(チョンワデ)の高官たちが黙認したとも思えない。報道では室長と首席秘書官が一斉に辞意を表明したとされ、非常戒厳令は国防部の金容賢(キム・ヨンヒョン)長官が大統領に具申したという。
★大統領は45年ぶりに非常戒厳令を布告したものの、わずか6時間で解除する事態となった。野党が国会の300議席中、約190議席を占めている中、戒厳令直後に国会で190人の議員全員が賛成し、戒厳令解除決議案を可決した。その中には与党・国民の力の議員18人も含まれていた。大統領による“勝ち目のないクーデター”は「内乱罪」といえる。憲法第60条には大統領は内乱または外患罪を犯した場合を除き、在任中は刑事訴追を受けないとあり、内乱罪の適用は大統領弾劾に直結する。当面、社会生活は平静を取り戻すだろうが、国会周辺に軍を大量に投入。大統領は野党の動きを暴力装置で鎮圧しようとした。政界は大統領の去就と政界再編へと進むだろう。
★東アジアの不安定を北朝鮮やロシア、中国が見逃すはずがない。ただ戒厳令が敷かれ外出禁止になってからソウル市民が続々と青瓦台に集まったのは、市民に軍が銃を向けた80年5月の光州事件の記憶が国民に強く残っているからだ。民主主義を自ら守るために行動する韓国民の強い思いだろう。それに比べ韓国政治の統治者の考えはいまだに古いか。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2024年12月05日 07:45:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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