【社説①・02.23】:万博チケット/「入場者第一」に立ち返れ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.23】:万博チケット/「入場者第一」に立ち返れ
事業費の膨張や建設の遅れなど多くの問題を抱えながら、大阪・関西万博の開幕まで50日を切った。一部パビリオンの公開など機運を高める仕掛けが相次ぐ中で、浮上した新たな問題がチケットの売れ行き不振だ。
日本国際博覧会協会(万博協会)は前売りだけで1400万枚の販売を見込むが、現状は800万枚弱と半分強にとどまる。うち約700万枚は企業が購入しており、市民向けの販売低迷は目を覆うばかりだ。
地元経済界のトップとして企業にチケット購入を働きかけてきた関西経済連合会の松本正義会長も「企業の責任は全うした」と、追加購入に否定的な考えを示す。万博協会はチケット販売や入場方法について、入場者第一の立場に立ち返って再検討してもらいたい。
協会は当初、スマートフォンを活用した電子入場券を徹底する方針だったが、事前に日時の指定が必要な上、勤務先など個人データの入力も求められるなど手続きが煩雑で、購入意欲は高まらなかった。
こうした手法を協会が取り入れたのは「並ばない万博」を目指したためだ。それ自体は評価できるが、さまざまな立場の人がチケットを買いやすいよう、もっと配慮するべきだった。
このまま販売低迷が続けば、万博の収支が赤字になる可能性は否定できない。吉村洋文大阪府知事の要請を受けて、石破茂首相は当日券導入の方針を打ち出した。首相に言われるまで動けないところに、硬直した協会の組織運営が透けて見える。
万博の会期は184日間に及ぶ。過去の万博の成功体験から「始まれば人気に火が付く」との声も聞くが、社会環境の変化を無視した楽観論に聞こえる。
万博協会は混雑緩和のため、近隣の専用駐車場に車を置きシャトルバスで会場に向かう「パーク・アンド・ライド」について、料金を時期や時間などに応じて変動させる「ダイナミックプライシング」を導入した。この手法は、入場チケットの価格設定にも採り入れられるのではないか。
社会の関心を高めるには、全容を早く発表することが重要になる。魅力的な内容なら、おのずとチケットも売れるはずだ。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年02月23日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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