《余録・01.23》:「久方のアメリカ人のはじめにし…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.23》:「久方のアメリカ人のはじめにし…
「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールの面白きかな」。詠み手の正岡子規が「野球」の名付け親という俗説がある。「野(の)球(ぼーる)」を雅号に使って誤解が生じたが、ベースボールの訳ではなかった
▲子規には日本野球の始まりをめぐる逸話もある。新聞に「明治14、15年ごろ」と自説を書いたところ「明治5(1872)年」と反論され、あっさり撤回。この年にお雇い米国人教師が伝えたことが定説になった
▲物事の発祥に諸説あるのは万国共通。本場の米国では南北戦争の北軍の英雄、ダブルデイ将軍が少年期に発明したと信じられてきた。発祥100年の1939年に初試合の地とされたニューヨーク州クーパーズタウンに野球殿堂が誕生した
▲今では伝説にすぎず将軍は無関係とわかったが、殿堂の輝きに変化はない。そこにイチローさんがアジア人として初めて加わった。史上2万を超える選手から270人余しか選ばれていない狭き門。ベーブ・ルースら偉大な名選手たちと肩を並べたことになる
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シーズン最多の262安打を記録後、野球殿堂博物館の一角に新設されたイチローの展示コーナー=米ニューヨーク州クーパーズタウンで2004年11月8日、野村隆宏撮影
▲年間最多記録の262安打。「エリア51」からのレーザービーム。走攻守で才能を輝かせたイチローさんはホームランが乱れ飛ぶ「ステロイド時代」の米野球に刺激を与え、原点を思い出させた
▲子規も特別枠で加わっている日本の野球殿堂にも選ばれたばかり。「野球は、もうすこしおおらかであっていい。ベースボールは、もうすこし緻密であっていい」。渡来まもない球技を愛した明治の歌人にも聞かせたいイチロー語録である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月23日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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