たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2018年『モーツァルト』_二度目の観劇でした

2018年06月10日 00時13分12秒 | ミュージカル・舞台・映画

 なんとか7時間余りの睡眠からの土曜日、二週間ぶりに日比谷。帝劇の開演前にお腹を満たすべく日比谷ミッドタウンの2階に行ってみましたがあまりの人の多さとお一人様向きではない雰囲気にあきらめて、いつも通り東京宝塚劇場を眺めながらカフェで食事。珍しく並ばずに入ることができました。なんか幸せだなあと思いました。日比谷は幸せ感にみちあふれた場所。ここには普通じゃない人たちがいることはまずまずありえません。平日は悪夢の中にいる感覚。スィッチを普通に戻す時間は必須です。キャトルレーヴでききちゃん・まどかちゃんのツーショット写真とあかねさすの舞台写真が掲載されたルサンクを購入するという無駄遣い。それから帝国劇場で『モーツァルト』、17時45分開演を観劇しました。

 ヴォルフガング:古川雄大
 コンスタンチェ:平野綾
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき
 アマデ:大河原爽介

 
 休憩時間お手洗いに並んでいる時すぐ近くから聞こえてきた女性同士の会話。「会社行きたくない」「劇場に入った時から非日常的」「こんなに日比谷に来ることになるとは思わなかった」「半休とりすぎ、最近いっぱい辞めた人たちと同じに思われているんじゃないかと心配、でも今しかない」「自分にとって人生の大事な用事がありますでいいんじゃない」。同じ気持ちの方、たくさんいらっしゃるんでしょうね。開演前、オーケストラピットから音合わせしている音が聴こえてくるだけで幸せ。開演を知らせる音が流れて客電が消えて舞台が始まるまでの一瞬の、始まるぞっていう緊張感が流れる静けさが好き。最初のカーテンコールのあと、オーケストラピットが客席のために演奏してくれる時間のぜいたくなこと。なんか生きていてよかったと心の底から幸せな感に満たされました。生オケはいいです、ほんとに。この上ないぜいたくさ。今日は客電がついたあと、二人仲良くそでから登場したヴォルフガングとアマデ、舞台の端から端へとと手をつなぎながら小走りしてそれぞれお辞儀をしたあと、爽介君が古川さんのマイクを使って「僕のためにありがとうございました」と可愛らしい声であいさつ。あまりのかわいさに客席はどよめき。古川さんが「爽介のためにありがとうございました」って言うと二人で笑顔でハイタッチしてからはけていきました。緊張感から解放された爽介君のくしゃっとした笑顔の可愛いこと、可愛いこと。古川さんも可愛い。2016年エリザの地方公演で一緒でしたね。素敵なコンビ。客席はほっこり幸せ感に満たされました。市村さんパパもカーテンコールでは思いっきり手を振ってくれてお茶目でした。

 カーテンコールのあと、ロビーでゆっくり写真を撮っている人たちがみんな気持ち満たされたオーラをまとっている感じが今日はとりわけいいなあと思いました。出入口で次回公演のチラシを配っていた係りの人たちも声はりあげないし無理に渡さないし、楽しくて仕方ない感じで写真を撮っているわたしたちを嬉しそうに見守っていてくれる感じがしました。

 古川さんヴォルフガング、新ヴォルフガングの誕生。たぶんこの人にしかできないヴォルフガング。とくに一幕は笑顔がたまらなく無邪気、やんちゃでいつまでも子供なのに自分では大人になったと思っていて父とコロレド大司教の束縛から逃れたくて仕方ない。世事にうとくお人よしで騙されやすく、それだけになおいっそう亡くなったあとまでもコンスタンチェの母にお金を抜き取られのがいっそう痛ましく感じられました。自分の影から逃れてが、神童と呼ばれた自分の影アマデから逃れたいというよりは自分を束縛するものから逃れたい、自分に群がる人たちから逃れたいと叫んでいるようにもきこえました。二幕の最後、レクイエムを作曲して燃え尽きたヴォルフガングの表情に、自分の人生に納得した笑顔をみました。やりきれない感がつよかった最後にはじめて希望を感じました。うまく言えませんが、こうして短い人生で後世に残る音楽を創り上げた神様に選ばれし奇跡の人、コロレド大司教から解雇されてむしろ自由になったと喜び、大衆のための音楽「魔的」に全身全霊を注いだヴォルフガングとアマデ、その姿とコロレド大司教が彼こそは神が遣わした奇跡の天才なのだと悟る流れがすごくしっくりと来たのです。こういうことだったのかっていう納得感。ヴォルフガングの首にうしろからがっと腕をまわす爽介君アマデの気迫もすごかった。ヴォルフガングはほんとに逃れられなくてもがいているようにみえました。目力と表情だけでよくあそこまで表現できるもんだと感心するばかり。「フィガロの結婚」の成功でお金と名声を得たヴォルフガングを認めることができないレオポルト。うかれたヴォルフガングを戒めるような表情と仕草をして絶望しているレオポルトをみるんだと言うアマデ。いやすごい気迫でした。一幕最後と二幕最後の二人の対峙は毎回鳥肌。アマデ、小さいのにほんとすごいよね。タータンのヴァルトシュテッテン男爵夫人は包みこむような歌声であたたかさに満ちていてほんとに素敵。二週間後にまた同じキャストで観劇予定。アマデは行ってのお楽しみ。

 ちっそくしそうな部屋に帰ってくるしかないのはつらいですが幸せ感に満ちた土曜日を過ごすことができました。日比谷はパワースポット。

 古川さん、2012年のルドルフデビューの時は、ビジュアル美しいけど声が細すぎて出ていなくって、すっごく細いしあまりにも儚げでした。それはそれでよかったのですが、ここまで成長されるとは思いませんでした。上手いとは言えないのかもしれませんがぎこちなさがキャラクターとシンクロしている感じで説得力があると思いました。もがき苦しむ孤独な青年がよくお似合い。足長くって顔小さくって何等身なんでしょう。二週間度はどう変わっているのかほんとに楽しみ。 
















古川さんヴォルフガング、汗の量が半端なかった。美しい人は汗をかいても美しいものかと・・・。ロベスピエールの時はひんやり感が半端なかったのでそれだけ熱量もすごいってことか。
 

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