『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐水夏希さん
(公演プログラムより)
「‐限られた出番の中で凝縮されたものをスパークさせるルドルフ役の鍛錬‐
『エリザベート』は、雪組初演を観て音楽に感動し、ビデオを買って毎晩すりきれるくらい観ていました。幻想的で美しいのに人物像が非常にリアルに描かれているところが素晴らしいなと。どの役も魅力的で、全部を演じてみたくなりました。宝塚の作品としても、ミュージカルとしても、一番好きな作品かもしれません。当時憧れたのは高嶺ふぶきさん演じるフランツ、青年期から老いるまでを演じられるところにとても惹かれたんですね。2005年に演じたルドルフは刹那的というか、物語で唯一人生を駆け抜ける疾走感がある素敵な役。舞台での集中力、吸引力をとにかく身に付けたいと思っていた時期だったので、限られた数分の出番で凝縮されたものを一気に昇華させることは非常に鍛錬になりました。開演してほとんどの役者が登場して客席もどんどん温まっていくなかを、奈落で一人ウォーミングアップしながら出番を待っていました。そのプレッシャーとルドルフのプレッシャーとが重なって、公演中は毎日かなりの緊張感を持って過ごしていましたね。ルドルフは最後に自分で死を選びますが、私はそれをルドルフにとっての最後の前進だと解釈して演じていました。当時の思い出としては、稽古中にとても孤独感と不安を感じてしまって、猫を飼っちゃいました。いわゆるルドルフ病というやつですかね。
今回は扮装なしの一日だけの出演ですが、ルドルフの魂を表現したいです。OG公演に出るのは初めてなので思い切り楽しみたいです。」