先日「読売」新聞の拡張員が家にやってきました。「コメをサービスします。何でも持ってきます」と必死でした。また「集金の来ました」とインタホーンごしに、ゴマカシてドアを開けさせて、です。拡張員の方々のご苦労には頭が下がります。
「朝日」新聞の集金の方は、テレビがテレビ番組CMを流すようになってから、新聞を止める人が多くなったと言っていました。
「読売」も「朝日」も、「赤旗」も、新聞を読む人が少なくなってきたなかで、拡張に必死です。日本の新聞の発行部数は日清戦争を機に、また満州事変を機に伸べてきた歴史があります。まさに対外戦争を機に発行部数を増やしてきた歴史です。
最近は賃金が上がらない、非正規労働者の増大など、貧困が進行する中で、また携帯など、電子機器の発展の中で、新聞を止める人が多くなってきたようです。
大陸に送り出した家族の情報を求める国民によって新聞の発行部数が増えていったように、現在も情報を求める国民はたくさんいるのに、それが新聞ではなく、電子機器であることは街のあちこちに見られます。まさに二宮金次郎なみの国民が街に溢れています。
新聞の発行部数が減っているのは当然でしょうね。そういう愛国者の邪論も、IPadを購入しました。設定ができず、数日間苦労しています。いつ操作ができるようになるものやら・・・と思っていますが、ま、楽しみながらやっています。時間がありませんので、集中してできないのが、トホホホです。
さて、話を戻しましょう。
以下の「読売」の社説を読んで、「読売」のご都合主義について、書いてみようかと思ったのです。
「衆参とも3分の2以上を確保したうえで、国民投票も行うという二重の高いハードルを乗り越えるのは容易なことではない」という「読売」のホンネには嗤ってしまいました。そうしたら、スイスやドイツ、フランスと日本を単純に比較して日本の憲法は旧いと言わんばかりの、理屈抜きの感情論に訴えているのです。
これらの国の事例を出すなら、第一条天皇条項こそ「不磨の大典」ではないぞ!となりませんか?
でも、こういうことを言うと、天皇は日本の伝統だと言うでしょう。だったら、日本国憲法は戦争放棄をした世界の稀有の憲法だということに誇りを持つべきですよね。
憲法の平和主義の一つである武器輸出三原則という「規制」の「緩和」、とは聞こえが良いが、実際は「なし崩し的改悪」と言ったほうが良いと思いますが、目を瞑る、というか、「奨励」「期待」「扇動」する「読売」です。憲法9条が本当に邪魔なんですね。「読売」は。「憲法改正を困難にしてきた96条の改正要件を緩和すべき時である」とまで言い切っているのです。
また「読売」は「F35の開発・生産の主体は米国」「イスラエルがF35を導入しても、中東地域の不安定化に直結するわけではあるまい」などと米国がイラン・アフガン戦争を行ってきたこと、そのことでアラブの反感をかっていることはすっかり忘れて?いや目を瞑り、ゴマカシているのです。イスラエルは米国の同盟国です。
こうなると、イスラエルに武器を供与した日本が攻撃を受ける可能性は確実に広がるでしょうね。アメリカが生きた教科書です。「読売」はそうした「想定」すら「想定外」に置くのです。思考停止現象の極地です。
しかし、憲法改悪の根拠、憲法の「規制」を「緩和」する根拠は、中国・北朝鮮の「脅威」論です。中国・北朝鮮にしてみれば日米の軍事力の「脅威」に対する「抑止力」が根拠です。同じ穴のムジナです。こうして軍事費が浪費されていくのです。その軍事費は血税なのです。F35を42機も購入する!いくらアメリカに支払うのでしょうか?
F35戦闘機、カナダは白紙撤回 日本は導入強行2012.12.15 21:04
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121215/amr12121521050009-n1.htm
もう一つは「日米の防衛技術協力を深め、同盟関係を強固にするだけでなく、日本国内の防衛技術・生産基盤の維持や育成にも役立とう」と軍需産業奨励です。軍需産業こそ、「死の商人」に税金を湯水のように使う「大型公共事業」ということを正直に語っていることです。このカネも血税です。天から降ってくるカネではありません。平和産業の育成などは、鼻から「想定外」「思考停止」です。
最後のゴマカシは「安全保障はもとより、環境権、プライバシーの保護など、多くの国会議員が憲法改正は必要と考えながらも、実現に至らなかった」論です。軍事的「安全保障」論ではなく、非軍事=非暴力=平和的「安全保障」論の具体化をサボってきた自民党政治を免罪することはできません。「安全保障」というと、日米安保=日米軍事同盟しか想定できない、思考停止状態をつくってきたのは、「読売」などマスゴミと財界・自民党政権でした。その背後には財政・貿易赤字に苦しむアメリカ政府があります。
環境権、プライバシー権などをいうのであれば、憲法の人権規定の徹底化をはかればすむことです。「環境基本法」によって、公害は「規制」されました。坂東俊矢・細川幸一編『18歳から考える消費者と法』(法律文化社)によれば、日本には「基本法」は38あります。これらは、現行憲法の理念に沿ったものです。
ということは、徹底して人権を擁護する運動を日常生活から起こしていくことだと思うのです。今、新自由主義が会荒れ狂う日本にあって、生活防衛の運動は、人権尊重主義を掲げて、暮らしを守ることになります。このことを軸に、全国各地で人権擁護闘争を展開することです。これが憲法擁護の裾野を広げていくことになると思います。「読売」の論調は、実は、このことを教えてくれています。
なんとしても憲法9条を改悪したい「読売」には、こうした日本の法体系は見えないのでしょう。あるのは「日米軍事同盟」と、その「関係国」だけの利益しか「想定」していないのです。あまりに危険な、国民をバカにした主張と言えます。
「読売」のお友達新聞、「日経」の論調は、「F35はアメリカが中心になって開発して管理しているから大丈夫、安心」論と同じ、対米屈辱思考です。以下みてみます。
日経 同盟強化へ首相が行動するときだ 2013/2/24付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52081250U3A220C1PE8000/
日米同盟を深めるためには、言葉だけでなく、行動が必要だ。米国の国防予算は大幅に削られようとしている。米軍のアジア関与が息切れしないよう、日本として支えていく努力が大切だ。では、どうすればよいのか。まずは、安倍首相が会談でも約束した日本の防衛力強化だ。日本を守るための負担が減れば、米軍はアジアの他の地域に余力を回せる。(引用ここまで)
以上、改憲派の論調の身勝手さをみてきました。如何でしたでしょうか?こうした論調を展開すればするほど、墓穴を掘るような状態を如何にしてつくるか、そのことが憲法を暮らしに生かした運動に貢献できればと思います。
憲法96条 改正要件緩和が政治を変える(3月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130303-OYT1T00994.htm
憲法改正の手続きを定めた憲法96条の改正問題が、大きな政治テーマに浮上している。 背景には、昨年末の衆院選で自民党や日本維新の会、みんなの党が96条改正を公約とし、3党で衆院の3分の2超の議席を獲得したことがある。 7月の参院選の結果次第では、憲法改正の環境が初めて整う。 憲法改正は今や、現実味を帯び始めた政治課題だ。 96条は、憲法改正について、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければならないと規定している。 衆参とも3分の2以上を確保したうえで、国民投票も行うという二重の高いハードルを乗り越えるのは容易なことではない。 自民党が提案するように「3分の2以上」を「過半数」とすれば改正を発議しやすくなる。 安倍首相は、政党の考え方が対立する条項ではなく、まずは多くの党が賛同できる96条から改正に取り組む考えを示した。現実的で妥当なアプローチである。 民主党の一部の保守系議員も同様に考え、維新、みんな両党の議員と96条改正を目指して新たな議員連盟を設立するという。政治家の国家観を問う憲法改正の問題は、政界再編につながる可能性を持つ意味でも重要である。 民主党は、党内の意見対立から依然として憲法改正に対する方針が定まっていない。 党の綱領にも「真の立憲主義を確立するため、未来志向の憲法を構想していく」とあるだけだ。これでは憲法改正にどう取り組むのか、さっぱりわからない。 憲法改正が争点になり得る参院選に向けて、今から党内論議を尽くしておくべきだろう。 憲法は、「不磨の大典」ではない。この13年間だけでも、スイスは23回、ドイツは11回、フランスは10回も憲法を改正している。 制定以来一度も改正されていない日本の憲法は、世界的に見ても希有(けう)な存在だと言える。 時代の変化に伴い、憲法と現実との様々な乖離(かいり)が目立っている。安全保障はもとより、環境権、プライバシーの保護など、多くの国会議員が憲法改正は必要と考えながらも、実現に至らなかった。 日本維新の会の橋下共同代表が「中身の議論も大事だが、国民に改正案の是非を問うこともできない状態を放置していいのか」と主張するのはもっともだ。憲法改正を困難にしてきた96条の改正要件を緩和すべき時である。(2013年3月4日01時50分 読売新聞)
F35部品輸出 3原則の例外扱いは妥当だ(2月6日付・読売社説)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130205-OYT1T01552.htm
武器の輸出など防衛装備政策では、日本の安全保障と国益を踏まえた総合的な視点が肝要だ。 政府は、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35について、日本企業が製造した部品の輸出を武器輸出3原則の例外として認める方向で調整している。 日米の防衛技術協力を深め、同盟関係を強固にするだけでなく、日本国内の防衛技術・生産基盤の維持や育成にも役立とう。輸出容認は妥当な判断である。 野田政権は2011年12月、武器輸出3原則を大幅に緩和し、武器の国際共同開発・生産を解禁する新基準を策定した。 「国際紛争の助長を回避する」との従来の理念は踏襲しつつ、厳格な輸出管理や、武器の第三国移転における日本の事前同意などを共同開発国に義務づけている。 巨額の費用を要する戦闘機や艦船などの開発は近年、複数の国が最新技術を持ち寄り、共同で実施するのが国際的な潮流だ。 日本だけが武器輸出3原則を墨守し、“技術鎖国”を続ければ、技術面で各国の後塵を拝するし、武器も一段と割高になる。その悪影響は甚大である。 特に戦闘機分野では、11年9月に国内生産が終了しており、産業衰退の恐れも指摘されている。それだけに、日本がF35の共同生産に参加する意義は大きい。 日米が共同生産するF35は、レーダーに捕捉されにくいステルス性を持つ次世代機だ。周辺国と緊張関係にあるイスラエルが導入することについて「国際紛争の助長」を懸念する声も一部にある。 だが、F35の開発・生産の主体は米国である。日本が製造するのはエンジンやレーダーなど一部の部品にすぎず、その役割は限定的だ。イスラエルがF35を導入しても、中東地域の不安定化に直結するわけではあるまい。 そもそも国際紛争を助長しないという基準を過度に厳格適用すれば、同盟国の米国への輸出さえ成り立たず、非現実的である。 日本の安全保障環境は、中国の軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発によって悪化している。中国軍は尖閣諸島周辺などで示威活動を活発化させ、国産ステルス機の開発にも力を入れている。 日本は、今年度から始まった計42機のF35の導入を着実に進めるとともに、F35の共同生産体制を軌道に乗せて、関係国との国際連携を強めることが欠かせない。 同時に、政府には、こうした状況をきちんと国民に説明し、理解を広げる努力が求められよう。(2013年2月6日00時55分 読売新聞)