「赤旗」日曜版が、岐阜の未来工業の山田昭男さんを取り上げました。内容は、以下のとおりです。
給料をきちんと払えば会社も伸びる 岐阜 未来工業創業者・取締役 山田昭男さん(81) しんぶん赤旗日曜版 2013年2月24日
働く人の賃金を上げるべきだ。それが景気回復につながり、会社経営にもいい結果を生む―という日本共産党の主張に賛成です。民間の平均賃金は97年から70万円も下がったそうですね。うちは賃下げなんてしません。給料は60歳で平均700万円。残業は禁止。社員800人はみな正社員です。今は大きな内部留保がある大企業までパートや派遣社員を使い、コストを下げる。人間をコスト扱いするなと言いたい。きちんと給料を払えば、社員はよく働くし、もらった給料を使うから製品も売れる。景気がよくなって会社も伸びるんです。「馬にニンジン」という経営論からノルマ主義が生まれました。しかし、人間は動物じゃない。しかも、一生懸命働いても賃金は下げ、派遣の首は切る。こんなことをやっていたら日本経済はますます悪くなりますよ。日本共産党の言っていることは、まともだと思います。格差拡大を批判し、雇用の安定を求めるなら、自民党ではなく、共産党にもっと投票しろよと、私は言っています。この前、韓国のサムスンの幹部が来て、「共産主義経営ですか?」と聞かれてびっくりした。私は、当たり前のことをやっているだけですよ。
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未来工業(電気設備資材の製造販売など。本社は岐阜県輪之内町。名古屋証券取引所2部上場)(引用ここまで)
「赤旗」が未来工業の山田昭男さんを取り上げた理由は、賃金値上げの正当性でした。しかし、未来工業の経営から学ぶべきことは、上記のことではありません。経営方法と思想は、現在の共産党が抱えている問題を解決するうえで、大いに参考になるのではないかと、ずっと思ってきました。
そこで、「赤旗」日曜版に掲載されたことを契機に、その考えをまとめてみました。
愛国者の邪論が、未来工業の経営を知ったのは、以下のテレビ番組でした。
この未来工業の経営を取り上げたカンブリア宮殿を視て得心しました。以下を参照してください。
カンブリア宮殿2011年1月20日 放送
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20110120.html
『カンブリア宮殿』'11.01.20 会社は自分のものだ! 自ら考え、自ら良くしろ
http://v.youku.com/v_show/id_XMjYzMjA4NDQ4.html
カンブリア宮殿【未来工業山田昭男】詳細情報
http://topicsnow.blog72.fc2.com/blog-entry-1160.html
ここで、注目すべきことは、以下のことです。括弧のなかは愛国者の邪論が挿入しました。
「会社(共産党)は自分のものだ!自ら考え、自ら良くしろ!」ということです。未来工業(共産党)では、毎日新製品が誕生していますが、社内で掲げられているのは「常に考える!」という標語です。
未来工業(共産党)では、毎日1、2個は新製品が誕生しているという。そのおかげで、シェアトップのスライドボックスだけでも85種類も作っているのだ。例えば営業社員(共産党員)にノルマはないが、ユーザー(住民・有権者)を必死に訪ねては、製品開発の種(要望・要求)を拾い続ける。その結果、開発部門(中央委員会・県委員会・地区委員会・議員)には全国(各地)の営業(支部)から毎日10件程の要望や提案が寄せられ、新商品化(新しい政策・方針)にこぎつけるのだという。「コストがかかるからダメとかではなく、どうしたら売れるか(共産党を支持)、客(住民・有権者)が便利だと思うものを『考え』ればいいんです」
そして「考え抜く」ための社内制度…改善提案は、全て1件500円で買い取りを行い、毎年1万件近く集まる。創業者・山田昭男氏の「大手(他党)と同じものを作っていては負けてしまう、考え続けて差別化しろ!」が徹底されています。(引用ここまで)
どうでしょうか?
日本共産党は、党員の党費によって運営されています。いわば日本共産党株式会社です。この会社は「赤旗」やその他の出版物を販売して経営が成り立っています。勿論カンパも重要な資金でしょう。
この日本共産党株式会社の商品(政策)が他の会社(他党)と「差別化」された時、国会や地方議会にたくさんの議員が誕生することになります。そして、国会や地方議会で、よりいっそう差別化されれば、ユーザー・消費者・住民・有権者は共産党株式会社の商品(政策)を求めることになるでしょう。それは、その方が自分の暮らしが良くなる、実利がかなうからです。ということは、共産党的に言えば、社会変革の事業は進むということになります。
ここで問題なのは、日本共産党株式会社と、その社員(党員)が「考え抜く」ということ、「会社は自分のものだ! 自ら考え、自ら良くしろ」というような状態で、日々ユーザー(住民・有権者)を必死に訪ねては、製品開発の種(要望・要求)を拾い続け、開発部門(中央委員会・県委員会・地区委員会・議員)に要望や提案を寄せているかどうかです。
そうして新商品化(新しい政策・方針)にこぎつけ、ユーザー・住民・有権者に買っていただいているかどうかです。買っていただくためには、その商品を買った方が自分の暮らしが良くなるということがなければなりません。ユーザー・住民・有権者は霞を食って生きているのではないからです。未来工業の商品を買った方が安くて便利、実利があるからこそ、未来工業は儲かっているのです。
今、全国各地の住民・有権者が自公政権の悪政によっていじめられていることは周知の事実です。しかし、いじめられているにもかかわらず、日本共産党株式会社の商品を買っていただけないのは何故か、です。「赤旗」の読者が不足しているからでしょうか?党員が少ないからでしょうか?或いは党員が高齢化しているからでしょうか?
もし、これらが日本共産党株式会社の商品を購入していただけない主要な理由だとしたら、「赤旗」や党員が増えない限り、党員の高齢化が解消されない限り、日本共産党の商品はユーザー・住民・有権者に買っていただけないことになります。
日本共産党の商品を買っていただけないのは、他党との差別化に失敗しているということです。成功していないということです。それは日本共産党株式会社の商品を買っても実利がないとユーザー・住民・有権者が思っているということです。別の言葉で言えば、ユーザー・住民・有権者の要求の実現をしていないということです。政策だけでは「共産党は良いことばかり言っているけど・・・・」となりませんか?実際にそのような声はたくさん言われています。
しかし、日本共産党株式会社の商品(政策)の性能は抜群!と多くの党員の皆さんは思っている?し、6中総もそのように決めたのです。総選挙の時の政策は基本的には参議院選挙でも使うと言っていました。
しかし、だけれども、買っていただけないのは、何故か?です。全てはここから始めなければなりません。そこで、ヒントは、
日々ユーザー(住民・有権者)を必死に訪ねては、製品開発の種(要望・要求)を拾い続け、開発部門(中央委員会・県委員会・地区委員会・議員)に要望や提案を寄せているかどうか、ということです。
これに成功していないのが、現在の共産党ではないでしょうか?以下みてみます。
第22回党大会第6回中央委員会総会 2003年5月24・25日
http://www.jcp.or.jp/jcp/22th-6chuso/2003_0527_hokoku.html
それぞれの地域、職場、学園での、すべての有権者を視野にいれ、対話にとりくみ、要求をつかみ、結びつきを広げ、後援会員をふやし、党勢拡大に結実させ、わが党の陣地をつねに拡大していく。この運動の到達点を、つねにあきらかにし、きちんと反映させるようにする。こうして、党の陣地拡大の到達点を、私たちがつねに科学的につかみ、系統的に発展させていくようにしたいと思います。…わが党は科学的な世界観と、科学的な政治路線をもつ党でありますが、組織活動・陣地拡大でも科学的に現状をつかみ、前進をはかることのできる党へと成長をかちとることを、この「大運動」での大事な課題の一つとしてとりくむことを提案するものです。(引用ここまで)
第6回中央委員会総会志位委員長の幹部会報告 2013年2月9日
http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/25th-6chuso/20130209-houkoku.html
1.すべての支部・グループが会議を開き、6中総決定を議論し、生活と「結びつき」の現状を出し合い、支持者名簿を整備しましょう。支持者名簿は、党としての結びつきの名簿と区別して、「マイ名簿」(個人としての結びつきの名簿)をつくることも大切です。
2.すべての支部と党員が、「国民の苦難の軽減」という立党の精神に立って、多様な要求と関心にこたえた、多面的な活動にとりくみ、また、参加しましょう。要求にこたえた活動という場合、それを狭くとらえず、さまざまな趣味の活動、ご近所・職場づきあいなど、国民の願いにこたえた活動全体を広く視野に入れて大切にしましょう。
3.得票目標と支持拡大目標を決め、広い有権者を対象とした声の宣伝やポスター張り、ビラ配布などの大量宣伝、「結びつき」を生かした対話と支持拡大に、ただちに足を踏み出しましょう。対話と支持拡大に、選挙直前にならないと力が出ないという悪弊を今度こそ克服し、「いまから直ちに」「繰り返し」「固めつつ広げる」という立場でとりくみましょう。党員の「踏み切り」――成長を援助するとりくみを、支部も党機関もさまざまな形でおこないましょう。対話と支持拡大と一体に、広く募金を訴えましょう。
4.党員拡大を、党勢拡大の根幹に位置づけ、6中総を起点に、すべての支部が、新しい党員を迎えて参議院選挙をたたかいましょう。「しんぶん赤旗」読者拡大では、前回参議院選挙時の回復をめざし、全都道府県、全地区、全支部が、毎月、日刊紙、日曜版ともに前進をかちとり、党勢の上げ潮のなかで選挙をたたかいましょう。国民に「溶け込み結びつく」ことと一体の新しい独自追求をすすめましょう。読者拡大では、読者と人間的・政治的に日常的に結びつき、「減らさず、前進する」活動に挑戦しましょう。
5.すべての支部が、「改革ビジョンを語り、日本の前途を語り合う集い」を、多種多様な形で開きましょう。単位後援会を確立し、要求にこたえた、楽しい多面的な活動をすすめましょう。後援会ニュースを発行し、後援会員との結びつき・協力依頼を不断に強めましょう。
6.学習の強化は、「結びつきの強化」とともに、党の活力を高める二つの根本の力となります。新入党員学習、「綱領・古典の連続教室」を活用した学習、毎日の「しんぶん赤旗」を使った学習をすすめましょう。すべての党員が「しんぶん赤旗」日刊紙を購読することを、党の質的建設の要の一つと位置づけて、力をつくしましょう。(引用ここまで)
どうでしょうか?10年前と今日と比べて、ほとんど変わっていないことが判ります。しかもユーザー・住民・有権者の要求実現運動を徹底化する、ドブ板活動をすることの意味づけは、極めて弱いことが判ります。要求実現は「拡大のための手段」のように考えていると言われても仕方のない表現となっています。
日本共産党株式会社の社員(党員)は「会社は自分のものだ! 自ら考え、自ら良くしろ」と「考え抜く」ような活動になっていないことが判ります。これでは国民的共感を得ることは厳しい限りです。未来工業の経営と大きく違っていることが判ります。
その最大の問題は何でしょうか?未来工業の経営のやり方、社員に対する見方、ユーザー・住民・有権者の見方に、その最大の要因があります。一言で言えば、社員(党員)の「自発性」、「自治」、「民主主義」、お客様(主権者)は神様(主人公)!これがカギでしょう。
もう一つは、生産手段を持たない労働者が、意欲をもって労働する。自分の労働力を未来工業に売ることで、生活する。徹底して8時間労働以内の労働時間を守る。会社のサークルに資金援助する。地域の文化活動に資金援助して貢献する。海外旅行、国内旅行などをとおして労働者に儲け分を分配する。しかも労働者が行く先を決める。労働者が資格を取る場合も援助するなどなど、資本主義社会の経営として、労働者を大切にするという点で群を抜いています。
こうした経営は未来社会の会社経営を先取りしていることは明らかです。会社経営に対して、労働者の意見を最大限尊重していることです。しかも報奨金を出しているのです。これは形をかえた職場民主主義と言えます。これは偉大な教訓です。社会のあらゆる部署で徹底して民主主義を実現するのです。共産主義は民主主義を社会のあらゆる部署で徹底的に、具体化、実現した社会です。
労働者は生産手段は持っていないが、会社経営に労働者を参画させている。しかも儲けを労働者に分配しているのです。これが資本主義社会のなかの会社経営なのです。夢を見ているようです。
これぞ、「共産主義」と言われる所以です。共産党の綱領の最後の部分が未来工業においては実現しているのです。
「ミニ共産主義(未来)社会」を実現している未来工業このような経営の手法を、現在の共産党に適用することが、国民的共感を得ていく道であることは明らかではないでしょうか?
日本共産党綱領2004年1月17日 第23回党大会で改定
http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/Koryo/
生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。
生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の構成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする。
生産手段の社会化は、経済を利潤第一主義の狭い枠組みから解放することによって、人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的な発展の条件をつくりだす。
(1)生産手段の社会化は、その所有・管理・運営が、情勢と条件に応じて多様な形態をとりうるものであり、日本社会にふさわしい独自の形態の探究が重要であるが、生産者が主役という社会主義の原則を踏みはずしてはならない。「国有化」や「集団化」の看板で、生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない。
(2)市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向である。社会主義的改革の推進にあたっては、計画性と市場経済とを結合させた弾力的で効率的な経済運営、農漁業・中小商工業など私的な発意の尊重などの努力と探究が重要である。国民の消費生活を統制したり画一化したりするいわゆる「統制経済」は、社会主義・共産主義の日本の経済生活では全面的に否定される。(引用ここまで)
それでは参考にしていただく資料を掲載しておきます。
日本一幸せな会社(上)未来工業創業者・山田昭男 社員をコスト扱いするな【話の肖像画】2012.6.12 03:16
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120612/biz12061203170002-n1.htm
カワムラ社労事務所
http://kawamura-sr.blogdehp.ne.jp/article/13148017.html
【流儀あり】知恵を絞って先手必勝 未来工業・山田昭男相談役2009年12月17日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ryugi/list/CK2009121702000208.html
社員にはアメを、ムチはいらない 未来工業~社員を大切にすれば必ず会社に報いてくれる
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2717
http://finalf12.blog82.fc2.com/blog-entry-471.html
社員を幸せにすれば企業は繁栄する(未来工業・山田昭男)
http://www.youtube.com/watch?v=Wc-TophrkD8