アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

暗譜は個性を出すために

2010年02月17日 | ピアノ
レッスン開始時、いつものように私が楽譜ガン見しながら一回通して弾くと、先生はちょっと考えてから、

「発表会のときに、楽譜置いて弾くのは別にかまわないのよ、緊張するわけだし、楽譜置いたほうが安全ならそれはそれで。でもね、家でリラックスして練習するときは楽譜見ないで弾けるようにしてみたら?

へ?? 家では??

先生が言うには、だいぶまとまってきたし、個々には弾けないところもなくなってきたので、ここから一歩進めるには、暗譜が効果的だと思うとのこと。

「暗譜をするにはね、子どもじゃないからただ弾いてても覚えられないんで、まぁ例えば、『イイクニ作ろう鎌倉幕府』とか工夫をするわけじゃないですか。そこに個性が出るんですよ

内声のある流れに注目してみるとか。分散和音を和音にまとめてつかんでみるとか。暗譜練習用にコピー譜を作り、暗譜で忘れるところに印をつけていき、私はこことここが怪しいからここに注目すればおっけーとやるのも効果的だそうである。

そうやって覚えようとする中で、目の付け所っていうのは、人によって必ず違うことになるので、弾き方も必ず人と違うものになってくる。流れをまとめて意識しないと覚えられないので、フレーズもつながりやすくなる、という趣旨。

試しに楽譜をはずしてみると、冒頭のほんの数小節も進まなくて、どこもかしこもお手上げ状態。先生はいくらなんでもここまでの事態を想定していなかったらしくて、ちょっとびっくりしている(-_-;;

まぁこれは、家で地道に試してみるしかないですね。

…でもそうすると、ここでレッスンが終わっちゃうので…

残りの時間は、「どういうところに個性がでるか」の別アプローチについて話をしてくれた。

私が録音したときの四分割の二の部分を例にとり、

ここの前半は音が上昇していく…
・まずは憂鬱な感じで
・ちょっと希望が持てる感じで
・テンション高まって
・またちょっともやもやと

そして、改めてまたpp、sempre tranquilloになってまた上昇していく…
で、問題は、ここがどんな感じなのか??

先生にとっては、例えば「つるがのびていくような感じ」。決して、テンションが高まる感じや、力強い感じではなくて、人によっては、「かげろうがもやもやとたつ感じ」というかもしれないし…

「あるいは、噴水がきらきらと吹き上げる…という人がいるかも。私の師匠はが好きでねぇ。私はそれが合わなくて」
…はぁ、水ですか。留学前、日本の大学での話ですね。
「そうそう。師匠は、すぐ『水』のイメージを使うし、お弟子さんにも『水』を得意としている人が多くて、○○門下の水系といったら有名だったのよ。エステ荘の噴水とか、水の戯れとか、夜のガスパールとか…」

それがトラウマになって、今でも水は嫌いなのだそうである。お師匠さんはわりと、お弟子さんにも自分のイメージで弾いてもらいたいタイプだったので、合わない先生はえらく苦労したらしい。それは留学してよかったですね。

私はその、水が好きな、先生の師匠が弾くコンサートを聞きに行ったことがあるのだが、あまりにも似てないというか、対照的なのでびっくりした。水がどうだかは知らないけど、ベヒシュタインのグランドを使って、小さな細かい音のきれいさには自信を持っているという様子で、真逆のタイプ。
#実は、私はその「水」先生の弾き方がかなり好きなのだが…別に、そっち系をめざしたいとかそういうことではなくて、聞くのが好きという意味で

「だから私はイメージをあまり押し付けることはしたくないんです」

…わかります。わかりますよ。だから七年間も、ただ平板に弾く生徒をどうしようか悩んでたんですよね。でも、先生はもともと「こう弾きたい」方向性が明確にあって、それが師匠とぶつかるから苦労したわけで。

どう弾きたいのかさっぱりわからない~

という生徒をどうしたらいいのかは知らないかもね。いやもちろんこちらにだってわかりませんよ。
コメント (14)
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