アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

下流の宴: 二つの結末

2011年07月20日 | 高専生活
下流の宴のドラマ放映が終わりましたね。

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私は、家の中にいるとあれやこれやと注意力が分散しているので(^^;; 毎週のドラマを見逃さないで、放映終了と同時にフォローしてるなんて滅多にないことなんですが、今回は、こじろうが毎週「今日だよね」といってつけてくれたんでコンスタントに見ることができました。

怖いものみたさというか…こじろうも私も。

それで、途中からどんどん、原作とは違うエピソードが入ってきて、結末は、似ているようで大きく違うものになりました。というわけで、以下の話は結末について言及しますので、今録画してあってまだ見てないから言わないで~という方はスルー推奨です。

(以下、ネタバレ注意)
























話は、翔との結婚を認めてもらうために「医学部に入る」宣言をした珠緒が、二年間の猛勉強を経てほんとうに合格したあたりでクライマックスに。しかしそのまま結婚してめでたし(?)にならないところが林真理子ドラマなわけで…

翔がそこで、実際に医学部に入ってここからも猛勉強とハードワークが待っている珠緒に対して、別れようと言い出すところは原作どおり。珠緒や、珠緒の周りにできるであろう友人たちは、フリーターである翔を見下すようになるだろうし、一方、自分としては、がんばる人といっしょにいるのは、自分が責められているような気がして居心地悪いというのが理由で、これまた原作どおり。

そして、翔は(住むところがないので)実家に戻るし、姉の可奈も、エリートのはずの夫が鬱になってしまい子連れで実家に戻ってくる。そうやって家族四人+可奈の子どもが家に揃って終わりになるところはドラマと原作で一致している。

違うのは翔の母、由美子(黒木瞳)の心情で、これは真逆といってもいい。原作のほうでは、翔と可奈の現状を嘆きつつ、子育ての何がいけなかったのかまったくわからないという、まったくこれまでと変わらない由美子でいて、ラストシーンは孫に新たな期待、まっさらな夢を投影するというホラーストーリーにまとまっている(-_-;;

これだと救いがなさすぎてNHKドラマにふさわしくないという話になったのか…

ドラマのほうでは、ラストに来るまでに、幼馴染の「受験のカリスマ」と一緒に、昔住んでいた、取り壊し寸前のアパートを見に行くというシーンや、翔が珠緒に別れを告げるところを目撃してしまうというシーンを織り込み、由美子自身が、自分の考え方のゆがみや、ほころびに気づくという流れになっている。

だから、これまで見下してきた珠緒が実は「努力のできる人」であったことと、それから一方で翔はフリーター生活に安住してまったく変わろうとしないことを認め、そのように育てたのは自分であるという発言までしている。

出戻ってきた二人の子どもといっしょに、質素な食卓を囲みつつ、さばさばしてむしろ楽しげに、元気な様子で、家族も母の変りようにびっくり、というふうに描かれている。

どっちの展開も小説としてありうるものなのだろうとは思うけれど、このように現実をさっぱりと認識したうえで、また明日に向かっていこうとしている(それがまた空回りではあるにしても)由美子というのは、原作の小説とはまったく異質なものだという印象がある。

林真理子の描きたかったものは、やっぱり何が起こっても、現実と乖離した自分の「中流観」を守ろうとしている由美子であり、性懲りも無く他人(=孫)に自分の未来を率いてもらおうとしているホラーな由美子だろう。

それを離れたらいけないとまで言うつもりはないんだけど…ドラマのラストは、由美子がそのように変り、しかしこれだけのどたばたを経て翔は何も変らず、家を提供してくれる彼女がいなくなればこんどは実家に寄宿し、あくまでたんたんとフリーターをしてゲームをして、というところがなんとなくしっくりこない。

期待されたようには(高認を受けて大学へ)行かないにしても、もうちょっと続けていける仕事に変ろうとするとか、祖母への借金を返せるようにだけはがんばるとか(原作では珠緒の母が一括返済したが、ドラマでは翔が返すことになっている)、この大激震のあと何を思ったのかというのがまったくない。なさすぎる。もっとも、そこを変えたらさすがに別の話になってしまうと思ったんだろうけど。

木に竹をついだような感じで終わられてしまった。なんだか不完全燃焼…

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コメント (14)
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