アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

アムンセンとスコット、偶然と必然

2016年07月21日 | 生活
なにゆえ今突然南極なのかって、世の中のトレンドとはまったく無関係(そして音楽ブログともまったく無関係-笑)ですが、先日娘の英語教材でたまたまその話が出てきたのね。

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それで、これまでこの話って詳細を聞いたことがなくて、漠然と「二つの隊がほぼ同時期に南極目指してたんだけど、片方は帰ってこられなかったんだよな」ぐらいだったのが、ソリを引くのに、アムンセン隊は「犬」だったのに対してスコット隊は「馬」という話が出てきて、えー、馬ですか(o_o)

とびっくりした。それでなんか詳しい話が知りたくなって借りてきたのが
「アムンセンとスコット」(本田勝一)
…というか、「アムンゼン」として記憶にあったのですが、それは英語読み経由でのカタカナ表記だったようで、本田氏はそれを採用せずいくらかでもノルウェー読みに近い「アムンセン」(本田さんらしいね)。

なんか絵的に、北極圏/南極圏の真っ白な世界の上を走るのは犬ぞり一択で、馬…!? というのはイメージにないのだけど、それはもう私が幼少のころに見た絵本とかで犬ぞりっぽい挿絵しかなかったということなのかもしれない。

でも実際、いくら寒さに強い種類とはいえ(別に競馬場を走っているサラブレッドみたいのを連れて行くわけではない)、犬と馬ではだいぶ違うらしく、犬なら零下20度くらいなんでもなく元気にそり引くし、雪の中で寝てもへいちゃららしいよ。馬は本格的に南極点目指すとけっこう弱るのが早かった。

それだけでなく、餌の違い。犬は基本、肉を食べるのでアザラシなど現地調達(^^;; も可能でコンパクト。馬の「かいば」はめっさかさばるから大変。体の大きさの違いがあるので、クレバスに落っこちたりしたら簡単に引き上げるわけにいかない。犬はわりとクレバスを察知して避けるし、落ちてもほかの犬やそりとつないであるロープでぶら下がっているところを引き上げればたいがいOK(想像すると怖いけど)

そんなこと、考えたらというか少なくとも試したらわかるんじゃないのかなぁ?? いい犬が入手できなかったのかな?? などと思ったが、実際のところ、スコット隊も犬は持ってたし、アムンセンが出発前に「犬半分わけてあげようか?(←ふとっぱら)」みたいな申し出をしたけど断っている。要するに犬をあんまり信頼してなかったのね。馬での実績もそれなりにあった(と思っていた)し。

このへんのスタンスの違いは、もうずいぶん長い時間をかけて両者を分けてきたようで、南極大陸についたあとというのは、むしろプロジェクトの最終段階なのかもしれない。アムンセンは、若いころから極地探検が目的で、そのためにまず船乗り→船長ってキャリアまで積んできて用意周到(それまでの「探検」がしばしは、探検のキャプテンと船のキャプテンでダブルリーダーであることから祖語が生じていたのをみて、自分が船を操れればいいじゃないかと思ったらしい)。

それに対してスコットは、基本、軍人さんで、南極探検も「任命」されたという位置づけ。

この違いは、いろんな場面で後を引く。組織の成り立ちも、メンバーのスキルも、依って立つところが違うので。

極地探検での困難を大雑把にいうと、「凍傷」「雪めくら(白すぎる世界の紫外線で目がやられる)」「壊血病」となるけれど、「凍傷」「雪めくら」を防止する装備…防寒服はもちろんだけど、靴や靴下、雪眼鏡など細かいグッズに至るまで、その用意周到さは二隊で大きな違いがあった。服が、アムンセン隊はアザラシ皮、スコット隊は牛皮だったんだけれど、牛のほうは濡れちゃって防寒の用をなさない場面があったらしい。

また、壊血病は要するにビタミン不足だけど、新鮮なお野菜ってわけにはいかないので、アムンセン隊は意識的に生肉で壊血病を予防していた。生肉にしても、犬ぞり、防寒服など、アムンセンがエスキモーと暮らして学んだ知恵がいろいろと生きているのですね。

極地を踏んだのはアムンセン隊もスコット隊も五人なんだけれど、アムンセン隊が計画通りの人数、計画通りの食糧確保で犬そり+スキーで快調に進んでいたのに対して、スコット隊は計画に一人上乗せ、食糧不足、そりは人力で引きという状態なので、ものすごく余力が違うことになってしまった。

四人用のテントを五人で使えば、疲れとストレスは溜まるし、四人より五人となれば余計食糧も足りないし、第一ひとり分のスキーはないってそれはかなりの無理筋では? とも思うのだがその致命的ともいえる判断ミス(といっていいと思う)の基盤としてチームの組織や階級や、なんかいろんな力学が働いていたらしい。

ともかく、いくら周到な用意をしても何か不測の事態でアムンセン隊も死者を出すことはあったかもしれない…なにしろ未踏の地なのだから…けれど、二隊の間に差が生じたのは偶然ではなく必然。ということが深く胸につきささる本でした。

というか、これだけえらくマズイことになっていながら、スコット隊が南極点に到達したうえほとんどあとちょっとのところまで戻ってきていたこと自体が驚異的。基地からの往復は3000km (東京-札幌が1000kmくらい)、それを人力で(しかも食糧不足で)ソリ引いてだよ!! スコットに、どんな不足な点があったにせよ、リーダーシップ、体力、粘り強さ、まじめさ、素晴らしいものをてんこもりに持ってたことは間違いない。それだけに、もうちょっと何かがなんとかなってればよかった…五人を四人にするだけでも、もしかしたら帰れてたかも。


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