岩淵で乗船してから1時間半弱で、江戸川区小松川と江東区東砂の境にある荒川ロックゲートに到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/6d/afecb560771ffd73f46bff530472fed6.jpg)
荒川ロックゲート
建設年:2005(平成17)
Photo 2007.6.25
船に乗ったまま、ロックゲートを通過して、いちど旧中川に入り、Uターンしてもう一度ゲートを通過。その後、小松川リバーステーションで下船。
荒川ロックゲートは、パナマ運河とかにあるのと同じ閘門と呼ばれるもの。水位の異なる二つの水域をつなぐもので、水門を開閉して水位を調節し、通過する船を昇降させる。ここのゲートは仕切り板が上下するタイプ。船が閘室と呼ばれる写真のゾーンに入ると、数分で水位が上下して通過することができる。
全国には何カ所かにこのようなものがあるようなのだが、舟運が昔のように盛んではないので、新築されるものは少ない。そんな中で最近建設された荒川ロックゲートは、もちろん防災や利水目的なのだが、観光施設的なものでもある。東京で運河を上り下りする体験なんてかなり珍しい、というわけで、実は知る人ぞ知る場所らしい。
御覧の通り、両側は階段状になっていて、見学スペースになっている。普段は入れないのが残念だが、ゲート上の通路からも船の通過が見学できる。今回は乗船したまま通ってしまったので、外からは見ることができなかった。船に乗って閘門を通るのは得難い体験なのでそれはそれでよいのだが、一方で、船が通るさまを岸からも見てみたかった。
さて、江戸は舟運が発達した都市で、銚子の方から川伝いに内陸を通って江戸に物資がもたらされたという。利根川を利用して、もっと内陸の方とも物資のやりとりがあったそうだ。東武東上線の川越の一つ手前に新河岸という駅があるが、まさに河岸があったわけで、昔の様子がしのばれる。人々も日常的に船を使って往来していたが、現在、東京で船に乗ることは日常ではないし、運河や川を行き来するレジャー船を見る機会もそうは多くない。
ヨーロッパでは意外に内水面の交通が残っていて、昔、造られた運河がまだ結構使われている。物流だけでなく、観光でも運河は利用されていて、狭い運河でも通れるナローボートという細身の平底船に乗って、のんびりバカンスを楽しんだりするらしい。内陸都市であるパリ市内にも、セーヌ川とは別に運河があって、毎日のように沢山の船が閘門を利用して行き来している。数年前に訪れたときも、次々に船がやってきては閘門を開け閉めして通過していた。運河が日常に近いので、閘門も特別な風景というわけではないようで、荒川ロックゲートにある見学スペースなどというたいそうなものは全くない。行ってみると、えっこれか・・・、という素っ気なさ。設備としても古いので、幅も長さも大したことはない。だが、次から次へテキパキと船を行き来させているのは、とても楽しく、見ていて飽きなかった。
そう思っていたら、ちょうど下記Blogで、オックスフォードの運河の様子がレポートされていた。こちらも大げさな運河でなく、身近な感じなのがいい。
Kai-Wai 散策 > オックスフォード便り(11)
こういうのを見ると、荒川ロックゲートの方は、国のお金をふんだんに使って、立派なのを造り過ぎたんじゃねぇの?、という気がしてくる。もちろん、新しく造るんだから大きな船でも通れるように、というのは分かるし、防災的な位置づけも異なるわけだけど、タワー付きの昇降ゲートのスピードがとても速いとかいうのは、そんなに必要だったのか? 一日に何隻が使っているか知らないが、利用数がさほど多くないわりに贅沢なんじゃないのと思う。仰々しくなく、もう少し、さらっとしたほうが、街に馴染むのではないかと思うのだが・・・。新しくて立派なゲートを見て、若干の違和感を感じたのだった。
荒川ロックゲート
#新しい建物 江東区 #海・川・池