東京新旧写真比較(1981/2007) No.13 千代田区内幸町1丁目
歩道の様子はほとんど変わらなかったが、道の向こう側の景色は大きく変化していた。
Photo 1981(ノーマル時)、Photo 2007.1.28(マウスオン)
写真の左側は現 みずほ銀行(当時は第一勧業銀行本店)。第一勧銀のビル(32F・140m、1980年築)は、81年当時はまだ新築されたばかり。そんなわけで、外構部や歩道上の樹木も植えられたばかりで、皆、こもが巻かれている。26年が経ち、樹木はそれなりに立派に育った。
道の向こう側に建っているのは。大阪ビル東京分館の一、二号館。藤森照信氏の東京建築探偵団による「建築探偵術入門」(文春文庫ビジュアル版・1986)に、「壁面上部にテラコッタ製のブタが並ぶビル」と紹介されていて、一度見たいと思っていたのだが、訪れる前に解体され、建て替えられてしまった。同書によると、一号館は1927年築で1986年に解体。一方、二号館は1931年築で、一号館解体の後にこちらも解体されたのだという。ちなみにブタくんは、現在は公開空地内に造られた壁に取り付けられている。
スクラッチタイルとおぼしきタイル貼りの真ん中に大きなアーチ型玄関が付く。オフィス街らしいモダンな街並みを創る建物だったのだなぁと思う。現在は横連窓でツライチ(面一:表面に凹凸がないこと)の建物になった。ビルの模型を造るときには楽チンだとは思うけど、立体感がなく、陰影に乏しい単純な壁面で、あまり手間が掛かっていないみたいで、なんか物足りない感じの建物だなぁと思う。
樹木に隠れている後方の建物も、建て替えられてできた建物。土地の権利関係が別々である建物の公開空地を持ち寄って、公開空地相互が自然に繋がったデザインとなっている。90年頃の新ビル建設当時はそういうものが珍しかったので、ちょっと話題になった。公開空地とかの敷地内空間の質は向上したかもしれないけれど、通り側の壁面の様子はやや退屈になってしまった。
さて、細かい点に目を移すと、郵便ポストが新しいものに取り替えられている。ポストなんて箱なんだから、交換する必要はあったのかなぁ? 箱の容量が増えているわけでもなさそうだし。
あと、歩道に点字ブロックが設置された。考えてみれば私が小さい頃はそういうものは全くなかったし、あってもごくわずかな場所だけだった。いつのまにか全国どこへ行っても、街中にはこういうのがちゃんと設置されるようになったものだなと思う。
ところで、実は、海外でこういう点字ブロックをほとんど見たことがない。パリでもベルリンでも、ロンドンでも見た記憶がないし、手持ちの写真を見ても写っている写真がない。これって日本オリジナルのものなのだろうか? 障害者対策はヨーロッパの方が進んでいると思っていたのだが、これはどういうことなのだろう? 交差点の信号がピヨピヨいって音を出しているのも、海外ではお目に掛かった記憶がない。単に私が忘れているだけなのか、それともやっぱり海外にはこういうものがないのか。日本は進んでいるのか、遅れているのか? それとも独自の道を歩んでいるのか・・・。
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