「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            原発事故被災地へ帰還青写真を!

2012-05-03 07:25:53 | Weblog
昨年の今頃だったと思うが菅総理(当時)が”原発事故周辺の土地は放射能の影響で20年は人が住めない”と言ったとか言わなかったで問題となり、岩舘村の菅野村長が涙で抗議したと新聞に出ていた。結局、この問題は松本健一内閣官房参与の発言だったと片づけられたが、いま思うと菅総理は、すでに、その当時原発周辺の放射能の深刻さについて、そのような認識をもっていたみたいだ。

平野達男復興相が、このところ原発事故で全町避難している双葉郡の渡辺大熊町長と井戸川双葉町長と、町民の帰還見通しや復興計画について話し合いをしているが、新聞報道によると、被災地の放射線量の高い地域は国有化した無人地帯にするとか、帰還に10年かかる地域の住民に対しては分譲地を斡旋するといった話が伝わってくる。

1年前、管総理の”人が住めない”発言の時マスコミの反応は、一国の指導者の発言としては不見識だ、というものだった。僕もこのブログで菅総理の発言は軽率すぎると批判した。だが、1年経過した今、平野復興相と被災地の町長との話し合いをみていると”人が住めない”地域が現実に出てきているのである。

原発事故の直後、被災地の町や村は政府の対応の不手際から、避難先まで引っ張り回された、苦い経験を持つ。しかし、今もって、はっきりした将来への見通しもないまま、町ぐるみ村ぐるみ避難している。先日、僕は三春町と郡山市を訪れたが、被災地から避難している住民の中には将来の生活について設計が立たず絶望している人も出ていると聞いた。原発事故は人災である。政府は一生懸命やっているとは思うが、もっと親身になって一日も早く帰還への青写真を住民に示すべきである。