「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ガン再手術入院記(2) 治療と介護との分担

2016-01-28 08:32:16 | 2012・1・1
2週間入院した国立病院では、患者は腕にパーコードの腕輪を義務づけられていた。入院中の治療はすべて、このパーコードの読み取りで行われている。多分過去の医療事故の反省に立っての知恵なのだろう。早朝から深夜まで、看護師さんがPCを載せた手押し車で、病床を訪れ、体温、血圧、時には血糖値などをチェック、マニュアルの時間表にそって点滴液を交換してくれたが、すべてパーコードの読み取りで始まった。これが象徴されるように、管理された治療体制は完全だった。ただ僕が気になったのは看護師さんの使う、例の”○○○しても、よいですか”といったマニュアル言葉であった。患者が体温を測って貰うのは当たり前である。

マニュアルの順守は基本中の基本だが、その弊害もある。僕は入院中介護の面で何度かこれを体験した。どこの病院でも専門の介護士さんはおらず、たいていは看護師さんが併行しているようだ。僕は3年前左膝に人口関節を入れた後、国から身障者4、介護1の認定を受けたが、普段の日常生活では他人のお世話にならずに済んでいる。しかし、今回の入院では1週間の点滴生活や手術直後、身体に張り巡らされた管で、夜間、尿瓶(しびん)のお世話になるにもベッドから起きられず困った。ナースコールを呼べばよいのだが、患者の心情として、なかなかできないものだ。でも、何回か困り果て看護師さんのお世話になったが、マニュアル人間として教育されたためなのだろうか、俗な言葉で言えば、気が利かない。例えば、僕がベッドから立ち上がれずにいるのに手をかさないし、言わないと靴も履かせてくれない。これは一人の看護師さんだけではなかった。

医療界の事は知らないが、看護師は資格を取れば、同時に介護師の資格を得られるのだろうか。しかし、その逆はないと思う。でも、僕が思うには介護の仕事は主に治療を目的にした看護師の仕事とは違う。病院の夜間シフトにも介護士を常時配置したほうが患者には助かるのだが。