「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

老人虐待と”長幼の序”の崩壊

2016-02-08 06:06:30 | 2012・1・1
老人介護施設での職員による虐待が、この2年間で倍増、300件に上っているとのことだ。そして、その被害者の77パーセントが認知症の老人だという。この厚労省の調査結果を新聞で読んで、僕は他人ごとではない感じを受けた。80歳半ばに来て、いつ認知症になったらり、老人施設のお世話になってもおかしくない年齢なのだ。

厚労省の調査によると、施設での老人虐待は職員の介護知識や経験の浅さからくるもので、年齢別では30歳未満の若い職員が全体の22パーセントだった。僕は国から介護1の認定を受けているが、介護サービスを受けたことがなく介護の知識はないが、ただ漠然と介護施設の職員は、みな国家試験を通った有資格者だと思っていたが、必ずしもそうではないらしい。2020年までは試験に合格していなくとも暫定的に、経験などに基づき介護に当たれるとのことだ。これではおかしな職員がいても不思議ではない。

先日、大腸ガンの手術で2週間国立病院に入院した。この病院は認知症患者に対しては、暖かく人間的に接しようという「ユマニチュート」ケアーの推進病院だが、僕の体験では一部の職員と思うが、高齢者への対応はよくなかった。老人は皆、耳が遠いと思い、言葉使いまで幼児言葉で接した。僕ら戦前修身教育を受けた世代には”長幼の序”の倫理感があり、敬老精神があった。

老人施設だけでなく、自宅介護でも子供や親族による虐待行為が増えているそうだ。昔、日本の社会をさえてきた”親孝行”という倫理感の喪失である。