「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「日本の消滅」 ”静かな有事” 総人口の減少

2016-02-27 06:52:51 | 2012・1・1
総務省が発表した2015年国勢調査の速報値によると、わが国の総人口は1億27711万43人で、5年前の前回調査から94万7305人(0.7%)減少した。1920年(大正9年)国勢調査が開始以来、人口が減少に転じたのは初めてのことだそうだ。戦前から戦争期にかけて”産めよ増やせよ”の国家スローガンの下で育ってきた僕ら世代にととっては複雑な思いだ。

産経新聞(2月29日付首都圏版1面)は、この初の人口減について”「日本消滅」危機感、静かな有事”と深刻に解説している。このまま策がなく推移すれば200年後の人口は1400万人、300年後は450万人を割り込む試算もあるという。そんなに未来ではなくとも、厚労省のHPによれば、今から45年先の2060年には、人口は8674万人まで減少するという予測もある。わが国の人口は昭和初期からの75年間に倍増しており、僅か半世紀足らずで大正時代に逆戻りしてしまうわけだ。

安倍内閣は「一億総参加社会」実現の一環として、国民希望出生率1.8を掲げているが、今一つ具体性に欠けている。僕ら昭和世代は、一億という言葉を聞くと昭和15年の皇紀二千六百年式典を想い出し、”金鵄(きんし)輝く日本”の奉祝歌で”一億が胸を躍らせた。あの当時の一億と、今の”総参加社会”の一億とは、同じ一億でも何か語感が違うのはどういうわけだろうか。

敗戦後すぐの時代、新聞雑誌の広告に”一姫二太郎三ゼリー”という避妊薬のキャッチフレーズが一世を風靡した。まったく無関係の世代の僕でさえ今でもこの言葉を憶えている。将来の日本の国力衰退をねらった占領政策だったといううがった見方もあるがどうだろうかー。しかし、人口減少は”静かな有事”であるのは間違いない、