「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     杖をつきつき80老の海外独り旅(5) テマングン(2)

2012-11-19 06:41:19 | Weblog
11月10日はテマングンの市制施行67周年と「英雄の日」の記念日であった。バンバン.プルノモさんは僕らのために招待状と式参加のためのバティック(ジャワ更紗)のシャツを用意してくれていた。式典は早朝7時から市の中心部にある広場で催された。僕らは県知事や県会議長らと一緒にテント張りの下の貴賓席に招かれた。

広い広場には早朝にかかわらず市内の警察、消防、警防団などのほか中高生の代表など、それぞれの制服を着て約千人も集まっていた。式は赤白の国旗掲揚に始まりパンチャシラ(国是五原則)の斉読など延々と続く。炎天下暑さのため、女生徒の中には倒れる者が続出した。しかし式は1時間にわたって厳粛に行われた。僕は戦前子供だった頃、学校で行われた紀元節など四大節の式典を想い起こした。この後式参加者はバスで英雄墓地に移動、さらに独立戦争時テマングン司令官だったバンバン.スゲン将軍の墓地に出向き同じような式典を繰り返した。

この日テマングンの町は祭り一色で学校も休み、子どたちは嬉々として市内各地で行列行進を楽しんでいた。バンバン.プルノモさんは町の名士らしく、行進に出会うと車から降り「ムルデカ」(独立)と子供たちに声をかけた。これに対して子供たちも「ムルデカ」と大きな声で答えていた。

オランダとの激しい戦闘のすえ勝ち取った独立である。この戦闘で犠牲になった英雄たちに対して市民皆がこの日は想いを馳せている感じだ。平和ボケし形骸化してしまったわが国の8月15日の終戦記念日の式典とは違う。終戦記念日の式典も国のために戦い亡くなった犠牲者を祈念する日なのだが、ほとんどの国民がそれを知らない。

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2 コメント

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封印 (chobimame)
2012-11-19 08:51:09
このような式典を見ると、羨ましいというか、本来国として当然の行いなんだと再確認します。
過去の戦争により、今の自分たちがどういう暮らしをしているのかに繋がります。
日本以外の国は、未だに終戦記念日は、各所で式典や過去のフィルムをテレビで流したりしているそうです。
しかし日本は、今や過去の戦争を全く知らない子供たちが存在し、終戦記念日の式典は、一部の人たちの行事になってしまいました。
過去を大事に出来ない日本は、何の有り難みもなく平和が当然だと思う平和ボケ状態。
自分たちのルーツを知らない国は、荒廃していくように思います。
なぜこんな国になってしまったのか?決してGHQだけの責任ではないはずです。
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愛国心の絆 (kakek)
2012-11-19 13:09:29
chobimame さん
敗戦によって日本人の気持ちがおかしくなってしまいました。これでは国のため尊い生命を奉げた人たちの霊がむすばれません。総理が靖国神社に参拝するかどうか以前の問題です。戦争とはなんだったかを、きちんと整理総括して次の世代につなげなければと、つくづく思いました。
”絆”は愛国心から生まれるものです。
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