「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      「ドクトル・マンボ」が見つからなかった古本市

2011-10-30 06:32:52 | Weblog
海外に長期滞在している知人からメールが入り、先日物故された北杜夫の著「ドクトル・マンボ航海記」を再読したいので、送ってくれないかと依頼があった。文庫本なら簡単に入手できると考え、たまたま昨日、神田で会合があったあと、いま開催中の「古本市」を見て回ったが、見つからない。新刊本の店にも「ドクトル」物は売り切れてなかった。

神田の「古本市」も半世紀の開催を数え、すっかり定着した形だ。昨日は土曜日ということもあって、すずらん通りを中心とした会場は人人人で一杯。書店ごとに小さなブースで古書を売っているが、人気書店の前には人だかりがして、ゆっくりと目当ての本など探せない。僕のように特定の文庫本を探しに来た者にとっては、どこへ行って探すのか判らない。

戦後まもなく、僕は空襲に会わなかった神保町の古本街へよく出かけた。学校で先生が黒板に板書して教えていた「徒然草」の本が入手したくて、一軒一軒店を覗いて歩き、ついに一冊ボロボロの古本を見つけた時の喜びは、今でも忘れられない。当時は食糧難の時代で人々は空腹を抱えていたが、活字にも飢えていて古本街の店はどこも賑わっていた。

古本探しの楽しみの一つは、自分の探している本が、思わぬ専門外の古書店で格安の値段で入手できた時だ。僕の記憶が正しければ、神田の古本市も昔は、今のように各書店ごとのブース販売ではなく、青空市のような形で各店が出品した本がごっちゃに売られていた記憶がある。お客にとっては、この方式の方が、思わぬ探し物を発見したときの、あの喜びを味わえるのだが。客寄せで仕方がないとは思うのだが、「古本市」と食物屋台の同居はどんなものなのであろうか。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブックオフ (chobimame)
2011-10-31 08:23:25
古本屋さんも最近は個人店から大型チェーン店に変わってきていますね。昨年、本の置き場に困って段ボール10箱程をブックオフに持って行ってもらいましたが、高額な美術系の画集や辞典などが何冊もあったのに1万円にもなりませんでした。なのに店舗に行ったら私の売った本が高額で売られていて複雑な気持ちになりました。あれなら売らない方が良かったと。これだから古本屋は儲かるのだろうとつくづく感心。神田の古本屋は何度か行きましたけど、少々入るのに勇気の必要な雰囲気の店もあり、また何処に何があるのか判らないので分類の分かりやすい大手の古本屋に行ってしまいます。これは味のない買い物ですね。
返信する
つまらない古本まつり (kakek)
2011-10-31 14:17:49
chobimame さん
神田の古本市は、出版社(本屋)の棚卸し整理みたいなもので、がっかりしました。主催者は事前にどこに、どのような種類の本コーナーがあるのかを明示すべきですね。僕も自分の専門以外の本は数年前、古本屋さんに来てもらい整理しましたが、あまり安かったのでがっかりしました。ブックオフは古本の知識はあるのですか。どこの家も本の整理に困っていますね。我が家も屋根裏に未整理の本がいっぱい、あるのですが、最近は足が悪くなり屋根裏に上れなくなり困っています。
返信する

コメントを投稿