東京で最も古いインドネシア.レストランであった目黒の「せでるはな」が、1月に閉店した旨、当主から電話で連絡があった。昭和37年に六本木で開業、今の地に移ってからでも半世紀以上だ。創業者の田中さん(故人)は、戦争中海軍の小スンダ民政部の軍属だった方で、敗戦後の昭和21年、現地で結婚したインドネシア人の夫人と、まだ幼かった長女を連れて復員してきた。
僕は開店直後からの「せでるはな」の常客で、メナド美人の夫人が料理する家庭料理が好きだった。中でも「テンペ」とか「ガドガド」「サテ」といった「せでるはな](sederhana=簡単料理)の味が絶品だった。夫人がキリスト教徒であったことから、店ではアルコール飲料(minuman keras)も飲めて、復員から帰った先輩たちと一緒に、「ブンガワン.ソロ」とか「愛国の花」のインドネシアバージョン「ブンが.サクラ」などを合唱したものだった。
歴史の表面から消えっかってきたが、敗戦時、旧蘭印(インドネシア)各地からの復員は難事業であった。復員は民間人と妻子連れの軍属が優先され、田中さんも戦後間もない昭和21年に祖国の土を踏んだが、大都市は焦土と化し食糧難であった。生前、田中さんから聞いた話では、海軍管轄下からは田中さんと同じような家族連れが百人近くいたそうだが、そのほとんどは、日本の厳しい生活に耐えられず離婚、オランダ経由で祖国に帰ってしまった。田中さんの場合は、実家が裕福だったこともあり、子供さんたちは、私立の学校に入れ、最終的には医大を卒業させ、お医者さんにさせている。
「せでるはな」の閉店を聞いて、僕は一つの時代の終りを実感した。昭和の時代には、東京のインドネシア戦友会総会には、百数十人が集まり、在京インドネシア大使館からも大使が参加した。東京にも「せでるはな」のほかにも六本木に「ブンガワン.ソロ」、新橋、新宿にも「インドネシア.ラヤ」といったインドネシア.レストランがあり、ノスタルジアのかっての兵隊さんたちで賑わっていたが、今は一軒もなくなった。無理もないことだ。従軍世代はすでに、もう、ほとんどが90歳代なのだ。
僕は開店直後からの「せでるはな」の常客で、メナド美人の夫人が料理する家庭料理が好きだった。中でも「テンペ」とか「ガドガド」「サテ」といった「せでるはな](sederhana=簡単料理)の味が絶品だった。夫人がキリスト教徒であったことから、店ではアルコール飲料(minuman keras)も飲めて、復員から帰った先輩たちと一緒に、「ブンガワン.ソロ」とか「愛国の花」のインドネシアバージョン「ブンが.サクラ」などを合唱したものだった。
歴史の表面から消えっかってきたが、敗戦時、旧蘭印(インドネシア)各地からの復員は難事業であった。復員は民間人と妻子連れの軍属が優先され、田中さんも戦後間もない昭和21年に祖国の土を踏んだが、大都市は焦土と化し食糧難であった。生前、田中さんから聞いた話では、海軍管轄下からは田中さんと同じような家族連れが百人近くいたそうだが、そのほとんどは、日本の厳しい生活に耐えられず離婚、オランダ経由で祖国に帰ってしまった。田中さんの場合は、実家が裕福だったこともあり、子供さんたちは、私立の学校に入れ、最終的には医大を卒業させ、お医者さんにさせている。
「せでるはな」の閉店を聞いて、僕は一つの時代の終りを実感した。昭和の時代には、東京のインドネシア戦友会総会には、百数十人が集まり、在京インドネシア大使館からも大使が参加した。東京にも「せでるはな」のほかにも六本木に「ブンガワン.ソロ」、新橋、新宿にも「インドネシア.ラヤ」といったインドネシア.レストランがあり、ノスタルジアのかっての兵隊さんたちで賑わっていたが、今は一軒もなくなった。無理もないことだ。従軍世代はすでに、もう、ほとんどが90歳代なのだ。
インドネシア料理で思い浮かぶものは、あまりありません。
最近は、カレー屋さんの出店が目立ちますが、インド人の経営と思いきや、スリランカやインドネシア人だそうです。
自国の料理で勝負すれば良いと思いますが、馴染みのない味だと、なかなか集客に繋がらないのでしょうか。
とても残念です。
東銀座の昭和通りに面して、インド料理店Nairがあります。創始者のNair氏(故人)は戦前のインド独立運動の志士,ビバス.チャンドラボースらと交流のあった方です。80年近い歴史があります。今でこそ、都会ではどこの駅前にもインド料理店がある時代ですが、昭和の30年代はこの店だけでした。Nair氏の出身地、南インドの味は抜群です。歴史を想いを馳せながら、本もののカレーを味あうのは格別です。残念ながらインドネシアには、こういった店がなくなりました。
4月から、インドネシア学校近くにあったCabeが移転してくるそうです。味だけなら、大久保に行けば本ものの味を出す店が沢山あるそうです。時代が変わりましたね。