ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

ヴェルディ「アッティラ」~若きムーティはベルカント重視

2009年03月26日 | オペラ
 このブログにもコメンテーターとして登場いただいている声楽家、ミー先生に送っていただいたオペラの中から、さっそくヴェルディ「アッティラ」を聴きました。
若きムーティは当時、アッバードと並ぶ新鋭指揮者でした。
サッサと次へ進める「運動会」のような今のムーティではなく、名歌手たちに学びながらベルカントを尊重した俊英でした。

序曲もしっとりとフレージングを歌いあげ(今のムーティは先へとたたみかける)
合唱もオーケストラと響きあい、美しい・・・そして「楚々とあらわれるオダベッラ」そう、アントニエッタ・ステッラのカヴァティーナは悲しみの音色を表し、やがてその悲しみを願いへと発展させる、決して挑戦的ではない・・・今までどれほど「カラス的な」オダベッラを聴いたことか・・・ヴェルディの理想の女性は、レオノーラやアイーダのような憂いと慈悲の願いをたたえた、「ひとりの女性」であるはず、それをステッラはそのビロードの声でやってのける・・・これはヴェルディなのだ、「ノルマ」や「メデア」ではない、と思いました。

そしてローマの名将エツイオを歌うグエルフィは素晴らしい美声、舞台から声のタワーがそびえるようで輝かしい、あのいぶし銀の「漢(男)」カップッチッリとは違う英雄像が浮かび上がります。一方異民族の英雄アッティラを歌うルッジェーロ・ライモンディの本物のベルカントのバス、これはシエピのようにカンタンテで叙情的、圧倒的なスラヴの声のギャウロフのベルカントとは違って「この人、エツイオも歌えるな」と思ったほど。
もちろん、ライモンディはバリトンのエスカミリオやスカルピアもレパートリーにしています。

1980年代から国際色豊かなヴェルディ上演になっていったのも、生粋のイタリア歌手の衰退ともいわれましたし、指揮者や演出家中心の上演になっていったからとも・・。

テノールのジャンフランコ・チェッケレは強い発声をしますが、実際のステージでは声が響かないといわれています。やがてルケッティにとってかわられましたが。
音色は間違いなくロブスト、でもステッラとの二重唱になりますと、非常に単純。
ベルゴンツイだったら、と思いますが・・・ベルゴンツイはメータやムーティとは共演しません。
ライモンディも「最近のムーティとは考えがあわないので共演は考えていません」と言うし、シノポリの夭折が惜しいばかりです。

ローマの名将エツイオは、世界を征服しつつあるアッティラに「世界は貴殿のものになってもローマは譲らない」と高々と歌い上げる、バリトンにとって「歌手冥利」の役、またバスのアッティラとの声の競演?も聴きものでした。
ただムーティはシノポリのような説得力に欠け、やがてテンポアップで迫力を増そうという方向もわかるような気がしますが。
アッティラのウオータン信仰とローマのキリスト教とのせめぎあい、またローマカソリックと「最後のローマ人」を名乗るエツイオとの対立など、ドラマは複雑な背景を持っていますがヴェルディの音楽は「人間ドラマ」として酔わせます。

それにしても、ヴェルディ歌手としてステッラは「最後の大型歌手」であり「自然体」の伝統的なソプラノだと思いました。
そして綺麗なオダベッラでしょうね。舞台を観たい

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朝青龍完敗、藤川投手「守護神のプライド」ズタズタ!

2009年03月26日 | スポーツ
春場所も終わったな、とため息、今日は横綱朝青龍は大関琴光喜に完敗し、二敗。
琴光喜は昨日お子さん誕生。おめでとうございます。

白鵬は日馬富士に完勝。白鵬優勝でしょう。
今場所は白鵬に譲るとしても、また来場所があります。

阪神の藤川投手はやはり、WBCで決勝に起用されなかったことがショックだったようです。先発だったはずのダルビッシュに「世界的な」名声を奪われた形に見えることは、プロとして我慢できないことでしょう。
国内の試合では充足できないことだけに、このプライドを潰されたことはとても容認できないと思います。

藤川投手著書「未熟者」では、現象としてうまくいかなかったことも、自分がダメだったのではない、と鼓舞してきたといいます。
「今後はWBCには参加しない」と宣言することで、かろうじて彼のプライドを保とうとしています。それでいいのです。決勝でたった一球も投げられなかった、というのは余程調子が悪いのか、と思っていました。
凱旋のなかでも傷ついている「守護神」を、阪神ファンは同じ想いをしていることでしょう。

「第一人者」とは虎の背に乗ったようなものでしょう。
そして20代という若い時期が、スポーツマンにとって頂点でもあり、乗り越えることは大変なことです。
40代で頑張る金本・矢野選手、藤川投手を励まして下さい。

そんな時、ソプラノ歌手ミー先生からアントニエッタ・ステッラのライヴ録音が着きました。
ヴェルディ「アロルド」「レニャーノの戦い」「アッティラ」など、ステッラ以外には望めない劇的にして優雅なレパートリーです。

これらのオペラは超絶な技巧を駆使しながら、激しくそれでいてエレガントに歌い、壮大なアンサンブルとともに名歌手たちが喉を競う「声の饗宴」そのものなのです。
カラヤン、ステッラという組み合わせの幻の名盤「レクイエム」もあります。
そして、ステッラの抒情を堪能するプッチーニ「ボエーム」、未知のオペラ、ザンドナイ「コンキータ」・・・これは気になっていたオペラです。
お送り下さった声楽家ミー先生に何とお礼を申し上げたらいいのか・・・ひとつひとつ丁寧に聴かせて頂きます。




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