Act I: Don Carlo 1986 (Don Carlo/Elisabetta Duet)
カラヤンの指揮によるヴェルディ「ドン・カルロ」からスペイン皇太子ドン・カルロは婚約者であったフランス王女のエリザベッタが政略結婚により、こともあろうに自分の父であるスペイン皇帝フィリッポ二世の王妃となったが、あきらめきれない。
また、王妃エリザベッタはカルロの継母となり、「息子よ」と呼びかけることになるが、かつての婚約者を忘れようと神に祈る日々だった。
カルロはエリザベッタに苦しい心を訴えるが、エリザベッタは「私を得るなら、あなたの父を殺し、その血ぬられた手で母を祭壇に導くがよい」と振り切る。絶望したカルロが走り去ると、「神よ、お守になった」と苦しい心の中で祈る。(動画7分すぎに)
この後の場面では、絶望したカルロはスペイン皇帝フィリッポの新教徒弾圧を非難し、戦争で荒れ果てたフランドルへ行き、民を救うことを誓う。
エリザベッタは今もなお慕わしいカルロをあきらめることが、彼を護ることだと思い、カルロの武運を祈るのだった。
ここで、Ken様のコメントを転載、よりくわしくお書きになっているので。
(このコメントは25日アップのパヴァロッティ、デッシ、ムーティ指揮のスカラ座ライブで頂いたもの)
ドン・カルロ (Ken)
2011-06-25 09:23:17
このオペラのテーマはたぶん滅び行くスペイン、なのでしょう。シラーはカトリックの巨大国が滅んで、新たにプロテスタント勢力が曙となってのぼる、ように描いてるのでしょうか。
ドン・カルロ王子は、その滅び行くスペインの象徴としてシラーは書いていて、ヴェルディの謎のラストシーンは、そのシラーのテーマを見事に劇化した、のだと思います。
カルロが恋に病み、現世を捨て、墓に消える、というのはスペインの終わりを強烈に予感してるのだと思います。
そうやって考えるとパヴァロッティの声は明るく健康過ぎるのでしょうか、、、。
エリザベッタという人物は魅力的です。彼女は彼女でフランスという彼女の祖国に対して、忠を尽くしているのです。フランスのために愛してない男との生活に耐え、恋心も封じる。
そんな彼女だから男を英雄の道へ送り出すことも出来るのです。
ロドリーゴ (Ken様へ ベッラ)
2011-06-25 17:14:27
ありがとうございます。ヴェルディのフィナーレについては謎でした。スペインの黄昏なんですね。そしてヴェルディのヒロイン、王妃エリザベッタの神々しいこと。
(この動画のドン・カルロはパヴァロッティでなくカレーラスになっています。前回の動画はあの大きなパヴァロッティでした)