★ 宮崎正弘氏のメールマガジンです。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)9月1日(木曜日)
通算第5014号
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ビシュケクの中国大使館自爆テロ、次は中央アジア一帯に飛び火か
中国の「一帯一路」妨害が目的。安定を破壊される恐れが強まった
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キルギスへ行くと、「あの山の向こうはキタイだ」と吐き捨てるように言う。山岳地帯には遊牧民が農業牧畜を主体に暮らしており、中国の脅威を言いつのる。「キタイ」は厳密には契丹だが、ロシアでは「チャイナ」を意味する。
その中国が傍若無人にキルギスに流れ込み、多くのプロジェクトを手がけたが、現地の雇用は殆どなく、労働者は中国から連れてきた。
典型はタジキスタンで、すでに十五万人が労働現場にいる。まるで中国の経済植民地ではないか、と反感を抱く若者が目立つ。
何時かは爆発するであろう、と予測されてきた。イスラム過激派は、この中央アジアの不満心理を掌握し、テロ行為に出た。
次に予測されるのはウズベキスタンではないか、と言われている。
ウズベキスタンも資源に恵まれているが、人口3000万人の大国であり、若者を吸収できる産業がない。
175万もの若者はロシアへ出稼ぎに出ている。
ウズベキスタンの貿易は一貫したロシアがトップだったが、昨年、ついに中国が貿易相手国のトップに躍り出た。
四半世紀に亘ってウズベキスタンを統治した独裁的な大統領=カリモフが倒れ、集中治療室に入院しているが、はやくも次期政権への模索が始まり、現首相で後継がまとまりつつある(モスクワニュース、9月1日)。
「なによりも安定が優先」として、国内過激派の動きを監視している。
ウズベキスタンにはしかしながらロシア軍の駐在はなく、ロシアとの国境も警備兵がいない。
逆に言えば、このルートからISの潜入が容易である。
事態の深刻化を認識したトルクメニスタンでも、ロシアへ軍隊派遣を含む軍事支援を要求した。
米国にも兵器供与を要請した形跡がある。
トルクメニスタンはシリアで敗色が濃くなり、リビアの秘密基地を破壊されたISが、次の隠れ場所として狙っている。
△◇○み◇□○や◇□○ざ◎○□き◇▽□
★ 8月31日のメールマガジンに気になっていた。これも転載しておきます。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)8月31日(水曜日)
通算第5012号
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(速報)
ビシュケクの「中国大使館」に自爆テロ
キルギスと国境を接するのは新彊ウイグル自治区
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29日、キルギスの首都ビシュケクの町のど真ん中にある中国大使館に車がつっこむという自爆テロが起きた。
運転手が自爆して死亡、警備の三名が負傷した。爆発は郊外からも煙があがっている場所が確認されたという。
ビシュケクは山岳と湖の自然に囲まれたキルギスの首都であるとともに美しい町並み、中央のマナス通りと大統領府のあるチュイ大通りが交差する角に建っている。
北向かいが緑豊かなマナス公園で、マナス大王の銅像が立ち、南方向のはす向かいにロシア大使館(ちなみに日本大使館はずぅっと南の鉄道駅に近い)。
マナスはキルギスの伝説上の王様、日本で言えばヤマトタケル、国際空港の名前もマナス空港(アフガン戦争中、米軍海兵隊二千名がこの空港に駐屯した)。
郊外のケント地区にはロシア軍がいまも駐屯している。
過去数年の間に、ビシュケクにおける中国の存在感は圧倒的になりつつあり、辻辻に中華料理、カラオケ、複合ビル。ロシア人を尻目に大手を振って歩いている。
第二の都市であるオシュで数年前に暴動が発生したときに、中国は四機のチャーター機を飛ばしたことはご記憶だろう。あの奥地に、中国人が五百名もいたのだ。
プロジェクトにファイナンスしたうえで中国企業は建築材料から労働者まで中国から連れてくるため、現地への利益還元がなく、キルギスばかりか、全世界的規模で中国への怨念、不満の爆発がある。南隣のタジキスタンはすでに中国人が十五万人、経済植民地化している。
新彊ウイグル自治区での反中国運動、イスラム過激派が地下へ潜っているが、山を越えてキルギスへ潜入した活動家が相当数いることは以前から知られた。
キルギスの遊牧民は「山の向こう(新彊ウイグル自治区のこと)に何があるか?」と聞くと「キタイ」と言う。
キタイはロシア一般で中国を意味する。歴史学的にはキタイは「遼」。ロシアの恐れる「タタール」はシナではなくモンゴル系。
それはともかく海外における中国大使館襲撃は、旧ユーゴスラビアの首都ベオグラードの中国大使館が米軍の「誤爆」によって破壊され、三名の大使館員(情報工作員)が死亡した事件以来である。
自爆テロとISの関係は不明。しかし中国大使館、中国企業が次のISの攻撃目標に入ったというテロリストの動きの変化には注目するべきであろう。(以上、宮崎正弘氏のメールマガジン)
★ このようにチャイナは自国人を連れてきて現地の労働者を雇わない方式はアフリカでも同じです。
チャイナはこれから先、明るい見通しはありません。
日本に脅しが通じるのです。またチャイナの今までの歴史では太平洋に出たことがない、明の時代の「鄭和」の7回に渡る「大航海」ぐらいでしょう。
WIKIの「鄭和」によると
中国では1987年に就役した中国人民解放軍海軍の練習艦が「鄭和」と命名されている。台湾でも、1994年に就役した成功級ミサイル・フリゲートの2番艦が「鄭和」と命名されている・・・と書かれています。
明の永楽帝に仕えた「鄭和」の大航海のようにチャイナは世界を制覇したいのでしょう。
しかし明も国が乱れ、女真族(満州)の「清」に国が乗っ取られ、その「清」もやがて「阿片戦争」を招きます。
この時代に通じる共通項があるように思えます。しかしチャイナには「人望」がない。
日本が気を付けなければならないのは、チャイナは「尖閣」をどうしても「資源」だけでなく「軍事基地」にしたいと目論んでいることです。そして「サラミ戦法」なるもので沖縄を狙っているという事実です。
今回の宮崎正弘氏のメールマガジンによると、かなりの広範囲でチャイナの危機が迫ってきているということです。
日本は「北朝鮮」のミサイルに狙われ、北朝鮮はテロ国家として不気味な存在、「拉致被害者」さえ取り戻せない現状の中であの「交渉」では「何をしてもよい」というメッセージを与えているとしか思えません。
★ 別の話題ですが・・・「皇位継承の危機?」で下記のyoutubeが緊急特番としてありましたのでご紹介します。
【緊急特番】皇位継承の危機?渡部昇一、小堀桂一郎、加瀬英明[桜H28/9/1]
2016/09/01 に公開
「生前退位」報道を受けられる形で天皇陛下がお言葉を述べられ、皇統のあり方について様々な議論が交わされる中で、二階自民党幹事長が不見識な発言で女性天皇容認論を唱えるなど、皇位継承そのものも損なわれかねない事態が生じている。
我が国にとっての天皇、皇統とは何なのか、今一度、根本に立ち返って明らかにする緊急特別番組をお送りします。
出演:
加瀬英明(外交評論家)
小堀桂一郎(東京大学名誉教授)
渡部昇一(上智大学名誉教授)
水島総(日本文化チャンネル桜代表)
ブログのティールーム
★ ここでパッと明るくロッシーニ作曲オペラ「泥棒かささぎ」の序曲を。
指揮はクラウディオ・アッバードです。
Rossini, La Gazza Ladra Overture by Abbado