8月8-9日、河野防衛大臣は、陸自与那国駐屯地、宮古島千代田陸自駐屯地と野原空自分屯地を「部隊視察」
8月11日の防衛大臣記者会見より:
Q:大臣、週末、沖縄の与那国島や宮古島を視察されましたけれども、コロナの影響でいろいろ日程が制限された部分もあったかと思うのですけれども、改めて南西地域の自衛隊配備ですとか、あと国境に近い島での監視任務等についてどうお感じになったのか、ご所見をお願いします。
A:コロナの件がございましたので、自衛隊の輸送機で現地に行って、駐屯地の中で宿泊をし、自衛隊外の方は、首長さんを含め、接触しないという、限定した日程になりました。本来、せっかく行ったので、首長を始め色々と意見交換をしたかったところではありますけれども、コロナという状況の中では致し方なかったなかと思っております。南西諸島、1,200kmという非常に長い地域の中で、これまでは陸上自衛隊、沖縄、それから4年前の与那国ということだったところへ、宮古島を始め、しっかりと南西諸島防衛に資する状況をこれからも整備していかなければいけないと思っております。本当に、弓なりに長く島が点在するという状況の中で、いかに我が国の領土・領海・領空をしっかり守っていくことができるか、これからもしっかりと考えながら、整備を進めていきたいと思っております。
8月11日 宮古毎日
空自分屯基地を視察/河野防衛相警戒監視状況の報告受ける
河野太郎防衛相は9日、前日の陸自駐屯地の視察に引き続き、航空自衛隊宮古島分屯基地を視察した。分屯基地では隊員から警戒監視状況についての報告を受けたほか、防衛施設を見学した。また、隊員らへ訓示を行った。
河野氏を乗せた車列は同日午前9時20分ごろに分屯基地に入った。約3時間にわたり滞在し、施設の見学や監視状況の報告などが行われた。防衛省では同分屯基地について「南西諸島の要衝に所在する日本最西端、最南端のレーダーサイトで、対領空侵犯措置のため24時間の警戒監視に当たっている」と説明している。
一行は午後0時20分ごろに分屯基地を出発し、宮古空港から自衛隊機で離島した。また、河野氏の視察に合わせて「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」(仲里成繁代表)のメンバーがのぼり旗や手作りボードを掲げて抗議活動を行った。
一方、8日に視察した陸上自衛隊宮古島駐屯地で河野氏が隊員らに訓示。その中で、24時間、365日、一瞬の隙も無く南西地域の防衛警備、警戒監視活動を担ってくれていることに敬意と感謝を表すとともに「厳しさを増す安全保障環境の下、南西地域の最前線で活動する諸君一人一人が果たすべき責務は一層重く、国民からの期待もより大きなものとなっている」と強調し、「責任感を持って日々の任務に当たってほしい」と激励した。
また、「防衛省、自衛隊の活動は国民一人一人、地方公共団体などの理解があって初めて可能となるものであり、地域社会と自衛隊相互の信頼をより深めていく必要があり、有事の際には島民を安全に避難させる必要がある。平素から地方公共団体と緊密に連携を図ってほしい」と話した。
8月9日河野防衛大臣空自野原分屯地視察
河野太郎防衛大臣が8日、陸上自衛隊宮古島駐屯地の視察のため初来島した。河野大臣は宮古島の視察に先立ち、陸上自衛隊与那国駐屯地を視察。その後、航空自衛隊のC-1輸送機で午後3時50分ごろ、宮古空港に到着した。
陸上自衛隊宮古島駐屯地ゲート前では「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」(仲里成繁代表)らがのぼり旗や手作りボードを掲げて抗議活動を行った。駐屯地前ではSPなどが警護する物々しい雰囲気の中、午後4時過ぎ、河野大臣ら視察団を乗せた車両が駐屯地の中へ入っていった。
同会のメンバーらは、ハンドマイクを手にして「宮古島を戦場にするな」、「今回の視察は何のためか」などと叫び声を上げ、駐屯地内へ訴えた。
河野大臣は午後5時20分に車両に乗り込む姿が確認されたが、同会のメンバーらが待ち構えるゲートには現れず、別のゲートから駐屯地を後にしたと見られる。
河野大臣の宮古島滞在は、きょう9日までで、航空自衛隊宮古島分屯基地を視察する予定。
8月8日 産経新聞
尖閣、中国船の活発化予想 河野防衛相が宮古島で訓示
河野太郎防衛相は8日、沖縄県の宮古島を訪れ、今年3月に配備された陸上自衛隊のミサイル部隊を視察した。訓示で同県石垣市の尖閣諸島周辺海域の状況について「今月中旬に中国公船や漁船の活動活発化が見込まれる」と述べ、南西地域の最前線で活動する隊員が果たすべき責務は重いと強調した。河野氏は宮古島訪問に先立ち、日本最西端にある与那国島の陸自駐屯地も視察した
★ 石井望先生、お知らせをありがとうございました。
尖閣沖の行動自制を 河野防衛相、中国大使に要求
https://news.yahoo.co.jp/articles/564dca628de3c082302e5f44d2696394355ca08e
次はわが畏友、奥山篤信氏の大切な友人である軍事評論家「小川和久」氏の文です。
日本も領海法を制定しよう
ただでさえ鬱陶しいコロナの夏だというのに、尖閣諸島周辺に中国漁船が大挙してやってくるとの報道がありました。
「中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を『要求する資格はない』と伝えてきていたことが2日、分かった。16日に尖閣周辺で中国が設定する休漁期間が終わり、漁船と公船が領海に大挙して侵入する恐れがある。日本の実効支配の切り崩しに向け、挑発をエスカレートさせる可能性もあるとみて日本政府内では危機感が高まっている。(半沢尚久)」(8月2日付産経新聞)
この情報については、政府関係者にも否定する向きがありますが、本当なら日本国内は大騒ぎになるでしょう。このような事態に対して、どのように向き合えばよいのでしょうか。マスコミが取り上げないのですが、中国側には尖閣諸島周辺で操業するうえで一定の根拠があるのです。まず、そのことを押さえておく必要があります。
1997年11月に署名された日中漁業協定(2000年6月発効)は「EEZ(排他的経済水域)漁業法適用特例対象海域では、相手国の漁船に対して自国の漁業関係法令は適用されず、」として、北緯27度以南の日本の排他的経済水域について決着を棚上げしているからです。
地図の赤い部分がEEZ漁業法適用特例対象海域で、尖閣諸島の領海部分は対象外として水色になっている(海上保安レポート2020)
従って、この海域では日中両国の漁船は自国の法律に従って行動することができますし、政府の船も自国の漁船を取り締まる名目で行動することができるのです。ただし、主権に関わるということもあって、尖閣諸島と領海は適用から除外されており、それを取り囲むように「棚上げ海域」が広がっているのです。中国の公船が日本漁船を追い回したのは、尖閣諸島寄りの「棚上げ」から外れた海域で、中国側は自国の領海だと主張していたことになります。
漁業だけでなく、日本政府が領海やEEZを決めている根拠の国連海洋法条約は、「国が所有または運航する船舶で政府の非商業的役務にのみ使用されるもの」に軍艦なみの治外法権を与えています。この種の「公船」が領海内の無害通航に関する規則に違反しても、沿岸国は退去を要求し、損害があったとき船の所属国に賠償を求めることしかできません。
中国への忖度は不要、堂々と日本の領海を防衛せよ
日本が領海警備の根拠法としている「領海等における外国船舶の航行に関する法律」(2008年)も国連海洋法条約に準拠し、「公船」を適用除外としています。そんな日本と比べると、中国は国連海洋法条約を批准したうえに、「領海および接続水域法」(1992年、以下、領海法)を制定し、国の安全と海洋権益を守る姿勢を明確にしています。許可なく中国領海を侵犯した外国船に対して強制措置を講じる場合の根拠法でもあります。
しかし、疑問が残ります。中国側はなぜ、領海法を根拠として海上保安庁の巡視船を取り締まろうとしないのでしょう。漁船を追い回したのなら、それを阻止するために割って入った日本の巡視船にも同様な姿勢を示すべきではないでしょうか。
実を言えば、中国側にはできないのです。尖閣諸島の領有権について根拠が弱いことを自覚しており、日本側と衝突でもしたら国際的なイメージが悪化するばかりでなく、下手をすると国際資本が中国から逃げ出した天安門事件の二の舞になりかねないからです。そうした中国の本音の部分を知り、必要な動きをするのが外交というものです。
日本が中国に対抗するには、同じ名前、同じ文言で国内法を制定することが第一歩です。領海法の制定によって初めて、日本は中国と対等の条件で外交交渉に臨むことができます。国内法の制定は、国際司法裁判所への提訴にも必要な準備です。
中国は領海法を制定するとき、日本への忖度などしませんでした。防空識別圏の設定も、当然の顔をしてやったのです。日本も同じようにやればよいだけです。政策的な評価は分かれますが、日本は尖閣諸島を国有化したではないですか。そのときと同様、中国は吠え立てるでしょうが、そこまでです。それくらいで動じてはいけません。さあ、コロナ対処に手一杯の日本に、できるかな。(小川和久)https://www.mag2.com/p/news/461708
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。
河野防衛相、駐日中国大使に「尖閣」「香港」巡り懸念伝える
毎日新聞 8月18日
河野太郎防衛相は18日、中国の孔鉉佑(こうげんゆう)駐日大使と防衛省で会談し、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国公船の活動活発化も念頭に、「日本周辺の海空域や南シナ海での中国側の動向に強い懸念がある」と述べ、中国側の自制を求めた。一方で「日中間で意思疎通を図る必要がある」として、日中間の防衛交流の早期再開の必要性も指摘した。
会談は中国側の申し入れで行われた。
河野氏は6月末の香港国家安全維持法(国安法)の施行についても「重大な懸念」を示した。【田辺佑介】
ネットニュース読者のコメントより
ブログのティールーム
テノールはフリッツ・ヴンダーリヒ、最高のリリコ(抒情的な声)でした。
Fritz Wunderlich sings "Dein ist mein ganzes Herz"
中国側も河野大臣を重要視しているようだ。河野大臣は言うときはきっちり言う。むしろこれがグローバルスタンダードな政治家だろう。中国からすれば、意味不明な人より、交渉する価値のある相手になる。
ご参考に・・・「イージス・アショア撤回の是非」矢野義昭 AJER2020.8.14(3)