東京オペラシティコンサートホールに東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(TCFO)の定期演奏会に出かけました。昨夏の帰国以来、なるべく多くの在京オーケストラを聴いてみたいと思っていますが、曜日やチケットのアクセスのしやすさなどでどうしても、NHKホールでのN響の演奏会が中心になってしまっています。今回のTCFOは1975年設立と言うことなので、40年近い歴史のあるオーケストラですが、音楽監督であり今回の指揮者である宮本文昭氏も含めて、私は全くの初めてでしたので、非常に楽しみでした。
始まりは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。ソロの千々岩 英一さんはフランスのパリ管弦楽団の副コンサートマスターとのことですが、この方も私は初めてです。とても力強く、安定感のあるヴァイオリン演奏で始まりました。が、、、正直言うと、この1曲目は私の完全な集中力不足。1週間の仕事の疲れか、昨夜の午前様帰りとなった飲み会のせいか、はたまた朝の10キロジョギングのせいかはわかりませんが、爆睡までは至らずとも、上の空の状態で聴いている感じで、全く持って私が駄目でした。
大きな拍手に私自身が覚醒され、アンコールの細川俊夫の無伴奏ヴァイオリンのためのエレジーはしっかり聴きました。これは実に素晴らしかったです。現代曲風の音楽で、題名通り、曲全体から物悲しさが漂います。千々岩さんのヴァイオリンも緊張感あふれるものでした。惜しむらくは終了間際に大きなくしゃみをした一人の聴衆。残りのあらゆる聴衆の憎悪の的になっていたに違いありません。
休憩を挟んで後半はショスタコーヴィチ 交響曲第5番。これが凄まじい演奏でした。宮本氏の指揮姿はお世辞にもスマートとか格好いいとは言えませんが、体全体で音楽を表現し、オーケストラから150%、200%の音を引き出すような精力的な指揮ぶりです。ペース配分は緩急自在。曲の解釈についてコメントするほど私にはこの曲を深く知りませんが、高揚感溢れる弦楽器のアンサンブル、金管・パーカッションの爆発、美しい木管のソロ、純粋に音楽を楽しみました。バランスどうのこうのよりも、「まずはこの音を聴け!」「体で感じろ!」と命令されているのではと思うほどの大音響。コンサートホール全体が音の振動で揺れているのが分かるほどです。日本ではなかなか味わえなかった「オーケストラは格闘技である」という感覚が蘇ってきました。普段、お行儀のよいN響を音が吸い込まれていきそうな大きなNHKホールで聴いている私には、非常に新鮮かつ興奮しまくりでした。終演になったときはもうぐったり。
この熱い演奏ぶりは、宮本氏の指揮によるものなのか、TCPOの特色なのかとても興味があるところです。きっと前者なのでしょうけど、これからしばらくTCPOを追いかけようかな?と思わせるほどのインパクトがありました。やっぱり東京のオケは数だけ多いわけではないですね。まだまだ新しい発見がありそうで、楽しみです。
2013年3月16日 14:00 東京オペラシティコンサートホール
シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番 ニ短調 作品47
指揮: 宮本 文昭
ヴァイオリン: 千々岩 英一
東京シティ・フィルハーモニー・オーケストラ
J.Sibelius(1865-1957)
Concerto for Violin and Orchestra in D minor, Op.47
D.Shostakovich(1906-1975)
Symphony No.5 in D minor, Op.47