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アマゾンの物流センターに潜入し、そのオペレーションや労務管理の実態を報告するルポ。新書版の本書は、単行本として出版された内容を第一部として、その後の追加取材を第二部として加えた二部構成になっている。
単純に内部暴露本として興味深く読んだ。第一部ではアマゾンの徹底した効率主義、その現れとしてのアルバイト管理手法など、ネットによる書籍販売で業界に革命をもたらしたアマゾンの現場が肌感覚で伝わってくる。年次報告書や新聞・雑誌のレポートでは窺い知れない舞台裏である。
また第二部ではアマゾンのマーケットプレイスの儲けの仕組みを知ることができる。マーケットプレイスが、プラットフォームを提供するアマゾンが実入りが大きく、いかに出品者には儲からない仕組みになっているかも理解できる。ブックオフ社との不透明な取引があった(アマゾン者は否定)というのも初めて知った。
ただ、著者の記述そのものは、本書の構成や作りのせいか、もしくは書き方のスタイルのせいか、経験に裏打ちされた深い考察というよりは、「軽さ」を感じるのは残念だ。再販制度に関する考察も物足りない。それでも、アマゾンの物流に目を付けたセンスはなかなかだと思うし、これだけ社会的影響力を増した企業について、内部に入り込んで光を当てたことは意義があると思う。
ルポルタージュとしての完成度、洗練度は高くはないが、アマゾンに興味のある人は読んで損がない一冊。
★★☆☆☆