
「舟を編む」が楽しめたので、ブログのコメントでyorikoさんからお勧めいただいた同じ石井裕也監督の作品『川の底からこんにちは』をDVD鑑賞してみました。
上京してきたものの、仕事も恋愛もだめだめな20代前半の女性(というより女の子)が、田舎の父親の入院がきっかけで、バツイチ子連れのダメ彼氏と一緒に田舎に帰り、父親が経営するしじみ加工工場で一念発起するというコメディタッチの成長物語です。
ヒロインを演じる満島ひかりさんの熱演が一番印象的です。私はこの女優さんを見るのは初めてでしたが、独特の雰囲気と魅力を持っていますね。決してテンポよく流れる映画ではないのですが、この女優さんの引力にずーっと引っ張れ通しでした。
監督の石井さんは脚本も書いていますが、今時、「頑張る」ことを真っ正面に取り上げた作品を作ったのも面白いと思いました。廻りにダメな普通の市井の人々を置きつつ、同じように普通でダメな主人公が「頑張る」と決意し、行動に移していく。ちょっと、力みすぎ、くさい、痛いと思わなくもないですが、私は嫌いではありません。映画全般の柔らかく素朴な雰囲気が、その力みを和らげているのでしょう。
「舟を編む」と比較すると、人物描写の深みや映像といった点で映画としての完成度は劣りますが、ほのぼのと楽しめる映画です。
監督 石井裕也
音楽 今村左悶 、野村知秋
脚本 石井裕也
キャスト
満島ひかり(木村佐和子)
遠藤雅(新井健一)
相原綺羅(新井加代子)
志賀廣太郎(木村忠男)
岩松了(木村信夫)