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ヴェルディの主要オペラは殆ど観ているのですが、《運命の力》はこれまで機会がなく初めてです。事前にあらすじをチェックしたら、ある女性を巡って、恋人が偶然にその父親を殺してしまい、仇討ちに来たお兄さんを返り打ちにし、更にその恋人までがお兄さんに殺されてしまうという、とっても暗いストーリー。怯み気味に初台へ。
歌手陣はまずまずといったところでした。ヒロインであるレオノーラ役のイアーノ・タマーとその恋人アルヴァーロ役のゾラン・トドロヴィッチは、もう少し歌声に奥行きや深みがあると良いと思いましたが、声量たっぷりの重量級。お兄さんドン・カルロ役のマルコ・ディ・フェリーチェはいかにもイタリア・オペラ向きの明るいテノールです。個人的に一番好みだったのは、居酒屋の娘プレツィオジッラ役のケテワン・ケモクリーゼ。以前、新国立劇場でカルメン役で出たことがあるらしいのですが、非常にはつらつとした演技と歌唱で暗い舞台を活気づけてくれました。《ラ・ボエーム》のムゼッタ役とかも似合いそう。
ヴェルディ節満載の音楽は、ホセ・ルイス・ゴメス指揮による東フィルの演奏が良くまとまっていました。有名な「序曲」を初め、ドラマチックな音楽を楽しみました。
演出は赤を基調にした比較的シンプルなものです。現代風と言えば現代風なのですが(少なくとも原作が想定した18世紀半ばではない)、今一つ時代設定は良くわかりません。現代風とはいえ、ストーリーや音楽とはマッチしたもので、違和感はありませんでした。
特にこれと言った不満は無い公演だったのですが、不思議に自分自身の舞台への投入度は今一つでした。ググッと舞台に引き込まれるような磁力を感じることが少なかった気がします。「何故だろう・・・?」と首をかしげながらの家路となりました。
2014/2015シーズン
オペラ「運命の力」/ジュゼッペ・ヴェルディ
La Forza del Destino/Giuseppe Verdi
全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉
2015年4月5日
オペラパレス
スタッフ
【指揮】ホセ・ルイス・ゴメス
【演出】エミリオ・サージ
【美術・衣裳】ローレンス・コルベッラ
【照明】磯野 睦
キャスト
【レオノーラ】イアーノ・タマー
【ドン・アルヴァーロ】ゾラン・トドロヴィッチ
【ドン・カルロ】マルコ・ディ・フェリーチェ
【プレツィオジッラ】ケテワン・ケモクリーゼ
【グァルディアーノ神父】松位 浩
【フラ・メリトーネ】マルコ・カマストラ
【カラトラーヴァ侯爵】久保田真澄
【マストロ・トラブーコ】松浦 健
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
La Forza del Destino
2014/2015 Season
Music by Giuseppe VERDI
Opera in 4 acts
Sung in Italian with Japanese surtitles
Opera Palace
Staff
Conductor José Luis GOMEZ
Production Emilio SAGI
Scenery & Costume Design Llorens CORBELLA
Lighting Design ISONO Mutsumi
Cast
Donna Leonora Iano TAMAR
Don Alvaro Zoran TODOROVICH
Don Carlo Marco di FELICE
Preziosilla Ketevan KEMOKLIDZE
Padre Guardiano MATSUI Hiroshi
Fra Melitone Marco CAMASTRA
Il Marchese di Calatrava KUBOTA Masumi
Mastro Trabuco MATSUURA Ken
Chorus New National Theatre Chorus
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra