《若葉が少しづつ芽を出しているNHKホール前》
ラフマニノフのヴォカリーズにピアノ協奏曲2番、そしてリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」と人気曲プログラムのためか、大NHKホールが完売のコンサートとなりました。指揮のウラディーミル・フェドセーエフさんは、私は初めてですが、以前、東フィルの首席客演指揮者も務めるなど日本ではなじみの方のようです。既に80歳を超えられ(1932年生まれ)、一時体調を崩されていたこともあったらしいですが、この日の姿は元気に見受けられました。ステージに現れたフェドセーエフさんを迎える会場からの拍手も大きく暖かいものでした。
一曲目のヴォカリーズを生で聴くのはきっと初めて。N響らしい弦のアンサンブルと所々で入る木管の調べが何とも美しかったです。
二曲目は、金色っぽい下地にラインの入った艶やかなドレスで現れたアンナ・ヴィニツカヤさんの剛と柔を兼ね備えたピアノ独奏が印象的でした。感傷的に寄ることなく、力強くしっかり音楽に音楽を語らせる。そんな演奏です。バックで支えるN響の演奏は重厚で大きくピアノを包み込みますが、ピアノは決してオーケストラに負けません。そのコラボが何とも心地よい。協奏曲の妙を楽しみました。演奏後の大拍手に笑顔で応えるヴィニツカヤさんは、プロフィール写真の鋭い表情とは真反対のチャーミングな笑顔。ファンになりそう。
休憩後はシェエラザード。この曲をN響で聴くのは確か2度目。間違いなく10年以上前ですが、堀正文さんのヴァイオリンが記憶に残っています。今回のフェドセーエフさんの指揮によるN響による演奏も、マロさんの繊細なヴァイオリンを初め、各パートパートの演奏やアンサンブルを楽しみました。が全体としては、私には、前半部分が随分スローテンポで、抑揚を抑えてあるように聴こえ、もう一つ「千一夜物語」の絵巻的ダイナミックさを感じ取れず、乗り切れませんでした。危うく舟を漕ぎそうになったぐらい。
ただ、これは単なる個人の好みの問題でしょう。終演後の満員の会場からの拍手は止むことなく、フェドセーエフさんは何度も呼び出されていました。N響メンバーからもリスペクトに満ちた賞賛に加え、花束も贈呈されて、双方の良い関係も伺われます。フェドセーエフさんの指揮は今年11月の定演でも予定されているので、また次回を楽しみにしたいです。
《アンナ・ヴィニツカヤさんのアンコール曲》
第1806回 定期公演 Cプログラム
2015年4月18日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール
ラフマニノフ/ヴォカリーズ
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」作品35
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ
No.1806 Subscription (Program C)
Saturday, April 18, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall
Rakhmaninov / Vocalise
Rakhmaninov / Piano Concerto No.2 c minor op.18
Rimsky-Korsakov / “Schéhérazade”, sym. suite op.35
Vladimir Fedoseyev, conductor
Anna Vinnitskaya, piano