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この企画が日本にやってくると知った時は狂喜した。ロンドン滞在時に、あの広い大英博物館の所々に散っている「100 Objects」の全件鑑賞のために、週末の空き時間を見つけては何度も通い、館内をうろついたからだ(100 Objectsの展示箇所には、通常の解説のほかに目につきやすいように専用の解説ボードが設置してあったのだが、それでもなかなか分かりにくい場所にあるものもあった)。丁度、部屋ごと長期改修中(当時Room2や90は閉鎖中だった)で鑑賞不能な展示物や他の博物館へ貸出し中の物もあったから、結局100件中鑑賞できたのは85件だった。それが、こちらから探す必要なしに、イギリスからやって来て一堂に会する。なんて素晴らしい企画なのだろう。
なので、この展覧会を知ってすぐに、割安なペア前売り券を買っておひとり様の2回訪問を計画。そして、さっそく会期開始早々に出かけたわけである。開催間もないことと、夜間開館時間帯だったこともあり、人と押しあったり、ぶつかったりすることもなく余裕を持って見られた。
200万年前から現代に至るまでの人類の歴史を100個の品で語ってしまうという凄い企画であるから、一つ一つがとても見応えがある。「オルドヴァイ渓谷の握り斧」、「ウルのスタンダード」、「イフェの頭像」など、当地で食い入るように眺めた品々との再会は、自己満足であることは承知しながらも何とも感動的だった。
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「オルドヴァイ渓谷の握り斧」・・・紀元前140万~前120万年。タンザニア。
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「ウルのスタンダード」・・・紀元前2600~前2400。イラク。モザイクで飾られた木製の箱。
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「イフェの頭像」・・・西暦1400~1500年。ナイジェリアの真鍮の像。
現地で見られなかった15点のうち、「鳥をかたどった乳棒」、「ムガル王子の細密画」、「ハワイの兜」、「ホックニー作『退屈な村で』」などが見られたのも嬉しかった。
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「鳥をかたどった乳棒」・・・紀元前6000~前2000年。パプアニューギニアから出土の石の乳棒。
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「ムガル王子の細密画」・・・西暦1610年ごろ。インドの紙に描かれた絵。
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「ハワイの兜」・・・西暦1700年~1800年。ハワイ。羽根で作った兜。
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「ホックニー作『退屈な村で』・・・1966年。イギリス。銅版画。
一方で、「まさかあの100点が全部来るわけでは無いだろうなあ〜」とは想定していたものの、やはり来ていないものも多くあった。特に、「サットン・フーの兜」、「ウォレンカップ」、「双頭の蛇」が無かったのは、期待していただけにちょっとがっかり。アウグストゥス帝の胸像も大理石版が展示してあったが、100点に指定されていたのはブロンズ像だったし、ターラー菩薩像も私が見た金ぴかの像とは違っていた。まあ、あの100点を全部外に出しちゃったら、大英博物館を訪問した人が怒り出すだろうからしょうがないか。期待がちょっと大きすぎたな。それでも、今回展示のうち3分の2近くは、大英博物館の100 Objectsと同じものだった。
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「サットン・フーの兜」・・・西暦600~650年。イングランドで出土したアングロサクソンの兜。
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「ウォレンカップ」・・・西暦5~15年。エルサレム近くで出土した器。同性愛を描いている。
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「双頭の蛇」・・・西暦1400~1600年。メキシコ。モザイク装飾された像。
その分、「ミトラス神像」、「カナダ先住民のフロックコート」など、新しく見たもので気に入ったものもあったので、合い打ちといったところか。もっとも、100点に指定されているされていないに関わらず、大英博物館の品々はどれも貴重なものが多いので、私のように変に凝りさえしなければ、一点、一点、見応え満載のホンモノが堪能できる。
是非、一人でも多くの人に見てもらいたいと思う。
東京都美術館にて6月28日まで。