その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

都響/「作曲家の肖像」シリーズVol.106〈日本〉(最終回)

2016-03-09 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 鴻巣パンジーマラソンを走った後は、着替えて池袋へ直行です。都響の「作曲家の肖像」シリーズ最終回を飾るのは日本の作曲家たちの作品。普段は、なかなか聴けないプログラムです。貴重な機会だと思うのですが、会場はいつもよりも空席が目立っていたのは残念でした。

 一曲目の武満徹の「冬」は札幌冬季五輪記念IOC委嘱作品だそうですが、北海道の冷たく厳しい寒さをそのまま表したような作品。あまり万人受けするタイプの音楽ではなく、私もいまいち消化不良気味。

 逆に二曲目の柴田南雄の《遊楽(ゆうがく)》は、祭囃子などを素材とした楽しく陽気な曲です。途中、ヴァイオリン奏者たちが立ちあがって、祭りの練り歩きのように舞台を歩みながら演奏します。これはこれで楽しめたのですが、お祭りのイメージを表しているなら、もう少し楽しそうに演奏してもらっても良いんでは。結構、みなさん真面目な顔で演奏していて、お祭り気分という雰囲気には見えなかったのは残念。

 休憩後は、池辺晋一郎の第9交響曲。福島の詩人長田弘の詩をベースにした9楽章・50分にも及ぶ作品です。プログラムによると、作曲した池辺氏が、東日本大震災以後、自然と人間の関係について考えるようになり創られた音楽とのこと。幸田さんのソプラノと宮本さんのバリトンが会場に美しく響きました。意外だったのは、日本語でも歌詞って意外と聞き取りにくいんですね。詩の意味合いや言葉の美しさを鑑賞するまでには至りませんでした。都響のサウンドは透明感があって美しく、心洗われます。

 3曲とも全く初めて聴く曲だったので、自分自身いま一つ勝手がわからなかったという点はありましたが、シリーズの最終回を日本の作曲家で締めるという企画は素晴らしいです。残念ながら、来シーズンはスケジュールの関係で、会員継続はなりませんが、1回券でフォローしていきたいと思います。




日時:2016年3月5日(土)14:00開演
場所:東京芸術劇場コンサートホール

指揮/大野和士
ソプラノ/幸田浩子 *
バリトン/宮本益光 *

武満 徹:冬(1971)
柴田南雄:遊楽 no.54(1977)
池辺晋一郎:交響曲第9番*(2013) ソプラノ、バリトンとオーケストラのために
コメント
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