N響創立90年を祝い、加えてサントリーホール開館30周年のお祝いを重ねた特別演奏会。A,C定期会員の私には、サントリーホールでのN響体験は滅多にない。しかも曲目はマーラーの交響曲第3番。昨年12月にデュトアさん指揮で素晴らしい演奏を聴かせてもらったばかりだが、パーヴォさんの捌きはどうなるのか、期待は大いに膨らんだ。
期待通り、パーヴォさんの指揮から生み出される音楽は、いつもながら見通しよく、爽やかで、べとつくことが無い。かといって機械的というわけではなく、精巧な工芸品のよう。
この日は、金管陣の活躍が目を見張った。トロンボーン、トランペット、ホルンは実に堂々とした演奏だった。第3楽章、ポストホルンの響きは、なんとも牧歌的で郷愁を誘う。
第4,5楽章でのソリストは横綱の貫録。舞台映えする衣装と体躯が目を引く中、安定したアルトがホールに響き渡る。合唱もしっかり支える。(児童合唱団の中に体調を崩したメンバーがいたらしいが、2階席の最深部の私は全く気が付かなかった)
そして第6楽章の弦のアンサンブルの美しさも圧倒的。マーラー3番は聞くたびに、この曲が好きになっていく。
通して感動したのは、サントリーホールの響き。私には年1回あるかないかの、サントリーホール体験(それもその時は大抵P席)なのだが、やっぱりこのホールは素晴らしい。金管ソロの音の余韻にふわっと自分の体が包み込まれる幸福感と言ったら、大袈裟で無く、生きててよかったと思う。NHKホールにも私なりの愛着はあるのだが、この余韻は逆立ちしても敵わない。そんな思いに捕われる箇所が、100分の演奏中に何度もあった。(Bプロが週末なら良いのに・・・)
そして、最後の最後、ここまで来たらフライングブラボーだけはやめてくれよ~と祈るような気持ちで迎えたエンディング。私としては、もう二息ぐらい余韻に浸っていたかったが、なんとか許容範囲内で1階席からブラボーの声が響き、我に返る。堰を切ったように溢れる拍手に会場は包まれた。
月並みだが、最高の音楽を最上のホールで聴いたなあ~という深い満足感と余韻一杯で、夜の赤坂から帰路についた。パーヴォさんとなら、N響はもっと高みを目指せるに違いない。
《開演前》
N響90周年&サントリーホール30周年 パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団特別公演
2016年10月6日
サントリーホール
マーラー/交響曲 第3番 ニ短調
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
メゾ・ソプラノ:ミシェル・デ・ヤング
合唱:東京音楽大学合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
NHK SYMPHONY ORCHESTRA 90TH ANNIVERSARY & SUNTORY HALL 30TH ANNIVERSARY
PAAVO JÄRVI CONDUCTS NHK SYMPHONY ORCHESTRA SPECIAL CONCERT
Thursday, October 6, 2016 7:00p.m. (doors open at 6:20p.m.)
Suntory Hall
Mahler / Symphony No.3 D minor
Paavo Järvi, conductor
Michelle De Young, mezzo soprano
Tokyo College of Music Chorus, chorus
NHK Tokyo Children Chorus, children chorus
期待通り、パーヴォさんの指揮から生み出される音楽は、いつもながら見通しよく、爽やかで、べとつくことが無い。かといって機械的というわけではなく、精巧な工芸品のよう。
この日は、金管陣の活躍が目を見張った。トロンボーン、トランペット、ホルンは実に堂々とした演奏だった。第3楽章、ポストホルンの響きは、なんとも牧歌的で郷愁を誘う。
第4,5楽章でのソリストは横綱の貫録。舞台映えする衣装と体躯が目を引く中、安定したアルトがホールに響き渡る。合唱もしっかり支える。(児童合唱団の中に体調を崩したメンバーがいたらしいが、2階席の最深部の私は全く気が付かなかった)
そして第6楽章の弦のアンサンブルの美しさも圧倒的。マーラー3番は聞くたびに、この曲が好きになっていく。
通して感動したのは、サントリーホールの響き。私には年1回あるかないかの、サントリーホール体験(それもその時は大抵P席)なのだが、やっぱりこのホールは素晴らしい。金管ソロの音の余韻にふわっと自分の体が包み込まれる幸福感と言ったら、大袈裟で無く、生きててよかったと思う。NHKホールにも私なりの愛着はあるのだが、この余韻は逆立ちしても敵わない。そんな思いに捕われる箇所が、100分の演奏中に何度もあった。(Bプロが週末なら良いのに・・・)
そして、最後の最後、ここまで来たらフライングブラボーだけはやめてくれよ~と祈るような気持ちで迎えたエンディング。私としては、もう二息ぐらい余韻に浸っていたかったが、なんとか許容範囲内で1階席からブラボーの声が響き、我に返る。堰を切ったように溢れる拍手に会場は包まれた。
月並みだが、最高の音楽を最上のホールで聴いたなあ~という深い満足感と余韻一杯で、夜の赤坂から帰路についた。パーヴォさんとなら、N響はもっと高みを目指せるに違いない。

《開演前》
N響90周年&サントリーホール30周年 パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団特別公演
2016年10月6日
サントリーホール
マーラー/交響曲 第3番 ニ短調
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
メゾ・ソプラノ:ミシェル・デ・ヤング
合唱:東京音楽大学合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
NHK SYMPHONY ORCHESTRA 90TH ANNIVERSARY & SUNTORY HALL 30TH ANNIVERSARY
PAAVO JÄRVI CONDUCTS NHK SYMPHONY ORCHESTRA SPECIAL CONCERT
Thursday, October 6, 2016 7:00p.m. (doors open at 6:20p.m.)
Suntory Hall
Mahler / Symphony No.3 D minor
Paavo Järvi, conductor
Michelle De Young, mezzo soprano
Tokyo College of Music Chorus, chorus
NHK Tokyo Children Chorus, children chorus