新聞で紹介されていたので図書館で予約したのだが、廻ってくるのに半年かかった。直木賞受賞作。
日中戦争、国共内戦を経て、台湾に渡った中国人家族の若者の成長物語。善悪の区分も困難な戦中の混乱期を生き抜いた主人公の祖父が、1975年台湾で何者かに殺され、主人公が犯人の影を追い続けながら、人間的に自立していくプロセスが描かれる。
いろんな意味合いを持つ物語だ。中国・台湾の歴史を背景に、戦後台湾の混乱や成長期の熱気が伝わってくる。中国人の考え方や価値観も伺われ興味深い。友情や恋愛も織り込まれ、主人公をはじめとした登場人物が何とも個性的だ。
作品的には、まだまだ完成度は高まるのでは、と思わせるところがあるが、作者の勢いや思いを感じる作品である。