午前中、埼玉県戸田市で行われたベジタブルマラソン in 彩湖というハーフマラソンのレースに出走後、NHKホールへ。この日は、指揮のパーヴォさんはもちろんのこと、ピアノ独奏のデニス・マツーエフさんが注目です。
そのマツーエフさん、ロンドンでゲルギエフ/LSOとの共演で、シチェドリンのピアノ協奏曲第5番を一度聴いたことがあります。当時の投稿を引用すると、
「続いて2曲目は、シチェドリンのピアノ協奏曲第5番。これもカルメン同様、凄い大熱演だった。正直音楽は良くわからなかった。エネルギー、それも怒りのエネルギーを爆発させたような曲。前から五列目に陣取ったので楽譜が見えるのだが、五線譜におたまじゃくしが引き詰められている真っ黒な楽譜を、独奏者のデニス・マツーエフ(Denis Matsuev)が、凄い勢いで、自分の動態視力では見えないようなスピードで、激しく鍵盤を叩く。ピアノは打楽器なのだ。ピアノが打鍵の強さで上下に揺れ、つっかえ棒が外れやしないかと余計な心配をしてしまうぐらい。曲は全く自分の理解の範疇を超えているものの、その激しさに体が反応し、心臓の鼓動が高まり、脈が早まり、血圧が上がるのがわかる。ドキドキするのだ。猛烈な勢いが最後まで衰えず、逆に加速してフィニッシュ。ブラボーの大きな拍手に包まれる。」(2010年9月25日記事より)
昨日のマツーエフさん、6年前(もう、あれから6年か~)の記憶そのままでした。相変わらず、激しかったです。あのNHKホールに、あれだけのピアノの音が響くのを聴いたのは初めて。怒涛の30分でした。聴いていて感じたのは、彼のピアノは乱暴という意味の激しさではなくて、曲への思い、表現したいことが、聴いている人の胸に刺さってくる激しさなんですね。とってもLoveを感じる。フィニッシュして、即、パーヴォさんとハグ。気持ちいい~。
おまけであるはずなのに、主役を食ってしまいかねないほどだったのは、アンケート2曲目。マツ―エフさんの編曲による「A列車で行こう」。聴いたことないはずなのに、知っているような曲だなあ~と思いながら聴いていたのですが、マツ―エフさんのピアノが圧倒的。縦横無尽、三面六臂、自由自在・・・。もう、今日はこれで帰ってもいいや。会場からも大拍手でした。
前半の興奮が醒めないまま、後半のラフマニノフの交響曲第3番。初めて聴く曲でしたが、聴きやすくリラックスして楽しめました。パーヴォさんは、アクセントを適度につけながら、全体のバランスを崩さない。全くの私見ですが、このパーヴォさんのバランスの良さが、N響とマッチするんですね。N響はもともとバランスの良いオケと思ってますが、パーヴォさんになってから、単にまとまっているという意味でのバランスから、一つ上がって、より表現豊かなレベルでのバランスの良さを感じます。
レパートリー広くいろいろな音楽を聞かせてくれるパーヴォさんとN響。これからも楽しみです。
第1843回 定期公演 Cプログラム
2016年10月1日(土)
NHKホール
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品16
ラフマニノフ/交響曲 第3番 イ短調 作品44
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:デニス・マツーエフ
No.1843 Subscription (Program C)
Saturday, October 1, 2016
NHK Hall
Prokofiev / Piano Concerto No.2 g minor op.16
Rakhmaninov / Symphony No.3 a minor op.44
Paavo Järvi, conductor
Denis Matsuev, piano