その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

欧州演奏旅行の大成功を期待! ノット/東響/ブラームス交響曲第1番ほか(東京オペラシティシリーズ 第94回)

2016-10-11 07:30:20 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
 この10月に欧州演奏旅行に出かける東響が、現地でのプログラムを事前お披露目です。

 厳粛な「弦楽のためのレクイエム」に続いては、ドビュッシー「海」。この曲は色んなオケや指揮者で何度か聴いています。が、この日は私の体調がイマイチだったせいか、ノットさんの「波」に上手く乗れませんでした。特に、第3楽章などは、過去に聴いたことのないほどの圧倒的な音量で、作曲当時の楽譜の表紙にあったという葛飾北斎の冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」の荒波そのもの。さしずめ、私はほんろうされる小舟といった感じ。遭難したままエンディングとなりました。

 逆に、後半のブラームス交響曲第1番は、スーッと音楽の中に自分が吸い込まれていく感覚で、かつ演奏も素晴らしかった。ノットさんの鬼のような激しい指揮ぶりとオケの皆さんの食らいつくような姿勢が、そのままはっきりと音楽に現れた緊張感あふれる50分でした。

 第1、4楽章の重厚さや豪快さと、第2,3の柔らかさ、優美さのコントラストやバランスが絶妙で、身震いすること数度。特に、第2楽章の木管楽器の美しさや第4楽章のフィナーレなど、いろんな名演に接して来ていますが、この演奏も全く遜色ない、というかマイ名演リストに間違いなくアップされる内容でした。

 終演後、会場は大拍手に包まれ、楽団員さんが解散した後も拍手鳴りやまずで、ノットさんのソロ・カーテンコール付き。

 ある意味、ハイレベルにまとまって完成度の高いN響よりも、完成度は劣るかもしれないけどよりストレートにオーケストラの気持ち、気迫が伝わってくる東響は、逆に欧州でも受けるのではないかと思いました。迫真の演奏と聴衆の大拍手が耳奥に残る中、欧州演奏旅行の大成功を祈念して、ホールを出ました。



《開演前》

東京オペラシティシリーズ 第94回

東京オペラシティコンサートホール
2016年10月09日(日)14:00 開演
出演
指揮:ジョナサン・ノット
曲目
武満徹:弦楽のためのレクイエム
ドビュッシー:海 ~管弦楽のための3つの交響的素描
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68

Tokyo Opera City Series No.94
Title
Tokyo Opera City Series No.94
Date
Sun.9th October 2016, 2:00p.m.
Hall
Tokyo Opera City Concert Hall
Artist
Conductor = Jonathan Nott
Program
T.Takemitsu : Requiem fpr String Orchestra
C.Debussy : “La Mer” trois esquisses symphoniques pour orchestre
J.Brahms : Symphony No.1 in C minor, op.68
コメント
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