その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

振替席で満喫: N響 10月定期Cプロ/ 指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ/ チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」ほか

2016-10-23 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 開演前ぎりぎりにNHKホールに駆け込み。今日は振替なので、どんな席になるか楽しみ半分怖さ半分だったのだけど、なんといつもの席から4列も前進した3階のかぶりつき席に狂喜。

 前半はアレクサンドル・クニャーゼフによるドヴォルザークのチェロ協奏曲。好きな曲であるのだが、仕事終わってまだ30分ちょっとしかたってないし、駆け込んだ体に、心地よい音楽と弛緩する体が組み合わさって、完全にあっちの世界に行ってしまいました。ごめんなさい。

 でも、アンコールのバッハの無伴奏チェロ組曲第2番サラバンドは集中して聴きました。情感豊かで胸に深く染み入る演奏です。アンコールとしては長めのこの曲を、遠いかぶりつき席から堪能。チェロの音色というのは、なんて人を落ち着かせてくれるんだろう。

 前半聴けなかったお詫びとアンコールがとっても良かったので、休憩時間にロビーで彼の無伴奏チェロ組曲全集3枚組を購入。家でもしっかり聴きます。

 後半のチャイコフスキーの「悲愴」も素晴らしかった。暗譜と指揮棒なしで、全身でオーケストラに向かい合うヴェデルニコフさんの気迫が背中から伝わってきます。楽員も集中力一杯で気合入ってました。弦のアンサンブル、木管の響き、金管の勢い、それも素晴らしい。私的には、抑制された緊張感一杯の第一楽章前半に痺れたなあ。後半はそれが一気に解放。そして第2楽章以降は一気呵成で。第4楽章のフィナーレの深遠さは表現できないほど。私は、不意に亡き父を思い出してしまいました。一緒に聴いたことは無いけど、この曲が好きだと言っていたなあ~。

 会場からも大きな熱い拍手。2日目に比べると、平均年齢も高めで落ち着いた雰囲気が漂うホールでしたが、終曲後の長い静寂は素晴らしかったし、拍手も暖かく敬意に満ちたもので、一緒に拍手して幸福感を共有している感じが心地良かったです。オペラグラスを持参し忘れたので、表情までは読み取れませんでしたが、ヴェデルニコフさんもとってもご満足の様子で、楽員の皆さんを讃えてました。私的には、先週のハルサイよりもグーです。

 蛇足ですが、終演後の原宿駅も土曜日に比較するとずっと空いていてよかった。



NHK交響楽団 第1845回 定期公演 Cプログラム
2016年10月21日
NHKホール

ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
チャイコフスキー/交響曲 第6番 ロ短調 作品74「悲愴」

指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ
チェロ:アレクサンドル・クニャーゼフ

No.1845 Subscription (Program C)
Friday, October 21, 2016  7:00p.m.  (doors open at 6:00p.m.)
NHK Hall  

Dvořák / Cello Concerto b minor op.104
Tchaikovsky / Symphony No.6 b minor op.74 “Pathétique”

Alexander Vedernikov, conductor
Alexander Kniazev, cello
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする