その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

コンサート納めはラ・ヴァルスで: N響12月Cプロ ラヴェル/バレエ音楽「ラ・ヴァルス」 他

2016-12-17 21:19:40 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 私的に今年のコンサート納め。イギリス、ロシア、フランスものを組み合わせた、意図は良くわからないけど、デュトアさんならではのプログラムです。

 「ピーター・グライムズ」はオペラは陰鬱すぎて好きになれないのですが、音楽は嫌いではありません。今回のデュトアさん指揮の「4つの間奏曲」は今まで聴いた実演ではベストかも。コンサートの冒頭に取り上げられて、何となく始まって何となく終わってしまい欲求不満なことが多かったのですが、この日の演奏はデュトアさんらしいつくりが分かりやすく、見通しの良いもので、N響のアンサンブルの美しさもあって、情景が目に浮かぶ名演でした。

 続いてはヴァディム・レーピンさんヴァイオリン独奏による2曲でしたが、前夜の忘年会の疲れか、集中力を欠いて舟漕ぎ状態となってしまい、ここはノーコメントです。ごめんなさい。

 後半の一曲目のオネゲル交響曲第2番は初めて聴きました。弦のほかは、管はトランペット一人だけの編成でびっくり。曲は「作曲時期が第二次世界大戦と重なったことから、オネゲルの一連の交響曲の中でも特異な性格を備えることになった」(プログラムより)と書かれるだけあって、暗く緊張感あふれるものでした。その分、N響の精緻なアンサンブルが耳に響きます。

 そして、最後はラ・ヴァルス。デュトアさんの十八番でしょうね。大きなジェスチャーでオケを引っ張るデュトアさんにN響が食らいつき、華やかなで年末を飾るに相応しいきらびやかな音楽でした。オネゲルの暗鬱さが取り払われて、暖かい太陽が昇って来たような気分。まさに一年を明るく締めてくれました。

 今年もN響にはいろいろな音楽を聴かせてもらいました。パーヴォ・ヤルヴィさんを主任指揮者に迎えますます充実の1年だったかと思います。NHKホールのロビーでは「2016年心に残ったコンサート」のアンケート投票を行っていました。さて、自分のNo1は何だったろう。これからゆっくり反芻したいと思いますが、いずれにしても、N響の演奏会がこの1年も豊かなものにしてくれたもののひとつであることは間違いありません。大いに感謝です!


第1852回 定期公演 Cプログラム
2016年12月17日(土) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール

ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」─ 4つの海の間奏曲 作品33a
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19*
ラヴェル/チガーヌ*
オネゲル/交響曲 第2番
ラヴェル/バレエ音楽「ラ・ヴァルス」

指揮:シャルル・デュトワ
ヴァイオリン*:ヴァディム・レーピン

No.1852 Subscription (Program C)
Saturday, December 17, 2016  3:00p.m.  (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall  

Britten / “Peter Grimes”, opera - Four Sea Interludes op.33a
Prokofiev / Violin Concerto No.1 D major op.19*
Ravel / Tzigane*
Honegger / Symphony No.2
Ravel / “La valse”, ballet

Charles Dutoit, conductor
Vadim Repin, violin*
 
 
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