終了間近の「古代アンデス文明展」に行ってきた。ロンドン滞在時に大英博物館には足繁く通ったけど、あの大英博物館もアンデス文明についての展示は、中東やエジプト系に比べると、充実度が薄かった気がする(まあ、展示されて無いものもたくさんあるのだろうけど)。中米のアステカ文明については特別展があって感銘を受けた記憶があるが、アンデスはインカ帝国を知っているぐらいで他は殆どなじみがない。なので、今回はお勉強モード。
《夜間開館日の閉館間近な時間帯なので展示物をほぼ独占》
展覧会HPに「時間的には先史時代から16世紀にスペイン人がインカ帝国を滅ぼすまでの約15000年間、空間的には南北4000km、標高差4500mに及ぶ広大な地域で、ナスカ、モチェ、ティワナクなど多種多様な文化が盛衰を繰り返しました。」とある通り、展示は時間軸・空間軸が大きすぎて、初学者にはとても捉えきれない。なので、あまり難しいことは考えず、ObjectをObjectとして観察した。文字を持たない文化だった彼らが、物を通じて何を伝えようとしていたのか、想像するのは楽しい。
《自身の首を切る人物の象形鐙型土器、クピスニケ文化(紀元前1200年頃から前800年頃)、ペルー文化省・国立チャビン博物館所蔵》
何と言っても一番の衝撃は目玉は最後に展示してあるチリバヤ文化(紀元900年頃から1440年頃)のミイラの展示だ。生贄とされた男児や女性のミイラが展示してある。彼らがミイラとなった事情には、その人の身分や社会によって、まちまちだろう。だが、時空を超えて、1000年近く前の人とこうしてリアルに向き合うことの不思議さといったらない。死生観も違うだろうから、自分の物差しで測ることはできないのだけども、生を離れる時の彼らを想像すると、うっすら涙が零れ落ちる。
出口近くで7分程度の映像シアターがあるが、これも美しい映像。マチュ・ピチュの話はよく聞くが、確かに一度行ってみたいものである。
開催期間も残り数日だが、一見の価値はあるので、まだの人はぜひ。
《顔つきの土器。正式名はメモ忘れ。》