その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響1月C定期 指揮 エッシェンバッハ/ ブラームス(シェーンベルク編) ピアノ四重奏曲ほか

2020-01-20 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

前週に続いてエッシェンバッハ、N響の演奏会へ。午前中からの雪交じりの冷たい雨で、観客の入りが心配だったが、9割近く埋まっており盛況だった。ちょっと珍しいブラームスプログラム。

前半はピアノ協奏曲第2番。エッシェンバッハと一緒に舞台に登場したピアニストのツィモン・バルトにまずサプライズ。アーノルド・シュワルツェネッガーを思い出させる堂々たる体躯に、襟のなしの長袖Tシャツ1枚。およそクラシック音楽界のピアニストらしくなく、驚きであんぐりしていたら、演奏はさっさと始まった。

演奏もとってもユニークだった(この曲、過去2回ほどしか実演に接してないので確かなことは言えない)。例えば、ペースがとってもスロー(こういう協奏曲のペース配分は指揮者と独奏者がどう話して、どう決めていくのだろうか?)。今まで聞いたものとはかなり印象が違う。プログラムには演奏時間47分となっていたが、手元の時計では1時間近くかかっていた。バルトのピアノは見た目通りの力強い打鍵もさることながら、弱音部分は実に繊細で優しい。そのギャップが面白かった。

私的に愁眉だったのは、第3楽章のチェロの独奏。日フィルから移籍された辻本さんのチェロは、音色の美しさ、奥深さ、表情の豊かさが出色。胸打たれた。

後半は、ピアノ四重奏曲をシューンベルクがオーケストラ用に編曲したもの。全く初めての曲だったので、当日午前中に元ネタのブラームスピアノ四重奏曲をYoutubeで聴いておいたのだが、そのためかシューンベルクの魔法のような編曲に舌を巻いた。「原曲でのピアノのパートをオーケストラに割り振り、(中略)グロッケンシュピールやシロフォンなど、ブラームスの時代には殆ど見られない打楽器が用いられ」(プログラムから引用)ているのだが、それが見事に嵌っていて、原曲の姿かたちを残しつつも、よりスケールの大きく、色彩豊かな音楽になっていた。

N響も個人技・アンサンブルともに冴えていて、特に最終楽章の切れある合奏はオーケストラの醍醐味とも言える盛り上がりだった。終演後のエッシェンバッハさんのドヤ顔が、指揮者としての演奏への満足度を示していたように見えた。

第1931回 NHKホール 1/18 □ 土 3:00pm

指揮│クリストフ・エッシェンバッハ
ピアノ│ツィモン・バルト
コンサートマスター│篠崎史紀

PROGRAM

ブラームス ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83 [47′]
ブラームス(シェーンベルク編) ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25 [43′]

 

PROGRAM C 

January 18(Sat) 3:00pm Concert No.1931
NHK Hall

conductor│Christoph Eschenbach|
piano│Tzimon Barto
concertmaster│Fuminori Maro Shinozaki

Johannes Brahms Piano Concerto No. 2 B-flat Major Op. 83 [47´]
Johannes Brahms/ Arnold Schönberg Piano Quartet No. 1 G Minor Op. 25 [43´]

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