アマゾンのビジネス書ジャンルで人気があったので読んでみた。シリコンバレーの伝説のコーチと言われたビル・キャンベル氏の教えを氏のエピソードとともにまとめた一冊である。あのスティーブ・ジョブスやエリック・シュミットらシリコンバレーのそうそうたる起業家・経営者たちのコーチとしてアドバイスを送り、信頼されていた人である。恥ずかしながら私は知らなかった。
目から鱗という類のアドバイスが書かれているわけではない。どこかのリーダーシップ論にもきっと書いてあるだろうと思われるアドバイスも多い。ただ、実在した人のエピソードとして書かれていると、より親近感やリアリティが湧く。
ビル・キャンベル氏はもともとコロンビア大学のアメフトのヘッドコーチを務めるなど、スポーツコーチ出身の人だ。だが、スポーツのコーチ・監督の思考や行動は、普段の仕事でのリーダーシップやマネジメントを考える上で、とっても参考になることが多い。スポーツは一定のルールの元で勝つということを目的に存在するチーム・選手が前提なので、実ビジネスの世界ほど複雑系ではない。そのため、よりストレートに分かりやすく教訓が得られるのだ(逆に、単純にビジネスや職場に当てはめることは出来ないこともあるが・・・)。
キャンベル氏の教えの特徴は、徹底的な人間性主義、チーム主義にあることだろう。アメリカのリーダーシップ論としては珍しいほどに、謙虚、信頼や愛といった価値観が語られる。一読に値するコーチ論、リーダーシップ論だと思う。どちらかと言えばウエット系の私の嗜好にもあう。広くビジネスパーソンに一度読んで欲しい一冊である。
【目次】
1 ビルならどうするか?-シリコンバレーを築いた「コーチ」の教え
2 マネジャーは肩書きがつくる。リーダーは人がつくるー「人がすべて」という原則
3 「信頼」の非凡な影響力ー「心理的安全性」が潜在能力を引き出す
4 チーム・ファーストーチームを最適化すれば問題は解決する
5 パワー・オブ・ラブービジネスに愛を持ち込め
6 ものさしー成功を測る尺度は何か?