8か月ぶりの演劇は、シェイクスピアの『リチャード二世』。シェイクスピアの喜劇、悲劇はそこそこ観ているのですが、歴史劇は初めて。事前に小田嶋訳で読んでおきましたが、長台詞が続くリチャード二世を岡本健一さんがどう演じるのかとっても楽しみでした。
公演は役者さんたちの熱量がほとばしる素晴らしいもので、上演時間3時間15分を全く感じないものでした。岡本さんが演じるリチャード二世は、王というより人間的で、驕り、迷い、悩み、諦め、悲しみ、あらゆる感情を自然に表出させており、自分とは全く違う人物ながら感情移入してしまいます。脇役陣も重厚な演技で、舞台がとっても安定していました。
舞台演出も派手過ぎず、簡素過ぎずで、物語の世界を忠実かつ美しく表現してあり、役者や台本の素晴らしさを最大限活かすものだと思いました。
支配者の栄枯盛衰、権力から落ちた人間の無力さや孤独を余すことなく伝えるシェイクスピアの原作も流石です。
硬派の歴史劇にも関わらず、観客の8割ぐらいが女性だったように見えたのは、岡本さん、浦井さんお目当てなのですかね?いずれにせよ、満足感一杯で劇場を後にしました。
こんなのを見てしまうと、他の歴史劇も見たくなってしまいますね。ただ残念ながら、本作品は、新国立劇場で足かけ12年かけて上演されたシェイクスピアの最終上演とのこと。過去作品の「ヘンリー六世」と「リチャード三世」を映像上映してくれるようですが、ちょっとスケジュール的に無理そうで残念です。気長に他の上演を待つことにしたいと思います。
2020/2021シーズン
演劇『リチャード二世』
Richard II
中劇場
予定上演時間:3時間15分(1幕:90分 休憩:20分 2幕:85分)
スタッフ
作 ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
演出 鵜山 仁
キャスト
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 立川三貴 横田栄司 勝部演之
吉村 直 木下浩之 田代隆秀 一柳みる 大滝 寛 浅野雅博
那須佐代子 小長谷勝彦 下総源太朗 原 嘉孝 櫻井章喜 石橋徹郎 清原達之
鍛治直人 川辺邦弘 ⻲田佳明 松角洋平 内藤裕志 椎名一浩 宮崎隼人