その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

NHK交響楽団、秋山和慶指揮、@東京芸術劇場 ベートーヴェン生誕250年プログラム

2020-12-13 07:30:37 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

秋山和慶、N響のベートーヴェン生誕250年プログラム。諏訪内晶子さん独奏のヴァイオリン協奏曲聴きたさに2日連続で東京芸術劇場に足を運びました。

諏訪内さんの演奏を聴くのは2009年のBBCプロムス以来11年ぶりです。薄桃色の煌びやかなドレスで現れた諏訪内さんは、この10年で更に落ち着いた大人の風格を備えたようにお見受けしました。

冒頭からその美しい音色に魅了されます。透明感あふれる音の中に微妙な憂いを含んだ情感も感じました。以前「技巧は素晴らしいが教科書的でもって自己主張が欲しい」というような評を耳にしたこともありますが、いやいや、今の諏訪内さんの演奏はしっかりとした自己主張を感じるものです。まあ、素人の手前勝手な感想ですが、この10年の経験や修練による成熟を感じた次第です。40分余り、これ以上はない集中度で聴きました。

諏訪内さんと秋山さん・N響とのコラボも素晴らしい。諏訪内さんを引きたてつつ、決して表には出すぎない。管楽器とのハーモニーは体が溶けそうになります。時には、独奏者とオケの火花が出るような激突を楽しむコラボもありますが、今日は全くその逆を行く調和の美を楽しむものでした。

コロナ感染拡大もあってか、会場は7割程度の入りでしたが、演奏後は会場からあふれるばかりの大きな拍手が寄せられました。ブラボー禁止が今日ほど恨めしく思われたのは、決して私だけではないでしょう。拍手でしか表せないのが悲しい。

前半のエグモント序曲、「セリオーソ」(弦楽合奏版)も秋山さんとN響の息の合った演奏が素晴らしかったです。秋山さんの指揮は、直球、端正、実直というような言葉が似あいます。そして、その棒先から生まれるオケの音は実に美しい。印象としては、今年お亡くなりになった、マリナーさんとN響の音を思い出しました。

私的には、今年もっと印象に残ったコンサートの上位入り間違いない演奏会となりました。

 

NHK交響楽団 12⽉公演 東京芸術劇場
2020年12月11日(金)7:00pm
2020年12月12日(土)2:00pm

東京芸術劇場

ベートーヴェン生誕250年
ベートーヴェン/「エグモント」序曲
ベートーヴェン(マーラー編)/弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品95「セリオーソ」(弦楽合奏版)
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:諏訪内晶子

NHK Symphony Orchestra December Concerts at Tokyo Metropolitan Theatre

Friday, December 11, 2020 7:00p.m.
Saturday, December 12, 2020 2:00p.m.

Tokyo Metropolitan Theatre

The 250th Anniversary of Beethoven's Birth
Beethoven /"Egmont," incidental music Op.84 - Overture
Beethoven (Mahler) / String Quartet No. 11 F Minor Op. 95 "Serioso"(String Orchestra Version)
Beethoven / Violin Concerto D Major Op. 61

Kazuyoshi Akiyama, conductor
Akiko Suwanai, violin

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