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元日本マイクロソフト社長の成毛さんによる未来予測本。
テクノロジー(6G、自動運転、空飛ぶ車、AI、エネルギー、再生医療、メディア)、経済(年金、税金、医療費)、衣食住、天災(温暖化、洪水、地震、水、富士山噴火)と言った社会の主要分野について、現在から2040年の姿を予測する。正直、目新しい話題や情報はさほど多くはない。どこかで一度は聞いたことがあるような話が多い。「そんなの知っているよ」という感想を持つ読者も少なくないだろう。
「新しいテクノロジーが登場した時、人間はその普及に反対するが、いずれは必ず現実のものとなる。テクノロジーが未来を変える。」というテクノロジー主導の社会変革や、「人口は最も予測可能であり、老人が増える日本がますます貧しい国になるのは確実である」といった日本の暗い未来は、「みんな分かっているよね」程度の感想しかなかった。
あまり意識してなかった指摘は、「このまま温暖化が進むと、飢餓にみちた世界が来る。」「「水」がもっとも希少な資源になる。そして、飢饉、水を巡る戦争も起こりうる。」といった環境変化が社会に与える影響までは考えが及んでいなかった。
どの未来予測もそんなに主張は大きく変わらないのだから、むしろ本書から学ぶべきは、「未来の種は既に今ここにあって、考えるネタはいくらでもある。問題はそれを自分事として認識し、備えを考え、行動できるか」ということなのだろう。20年前の2001年がついこないだだったように、20年後の2040年もあっという間のはずだ。なので、大切なのは、読み飛ばして終わりとせず、立ち止まって考えてみることなのだろう。