その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

巣ごもり脱出し、箱根・ポーラ美術館へ:「フジタ-色彩への旅」展など、おもろい企画が山盛り

2021-07-26 07:30:19 | 美術展(2012.8~)

〈美術館入口〉

「感染防止のため家に居ろ」と知事様は仰るものの、正直、もういろんなダブルスタンダードにはあきあきしているし、基礎疾患枠でワクチン接種も終了したので、4連休を使って久しぶりに箱根のポーラ美術館を訪れた。この美術館、箱根の緑豊かな環境、陽光を一杯に取り込んだ明るく開放感ある館内、興味深い企画展と、3点揃った魅力あふれる美術館で、お気に入りである。今は、「フジタ-色彩への旅」と題して、「フジタの旅と色彩の変達に焦点をあて、フジタの画業の展開と生涯の旅路」を紹介する企画展を開催している。



フジタの個展は以前もやっていたので、同館所有の作品を中心に見たものも多かったが、切り口が違うとまた異なった角度で作品を楽しむことができる。今回、初見の作品では、特に面白かったのは2点。一つは、フジタが世界を巡る旅の中でとった写真。1930-1940年代に撮影されたものがモニターで画像に紹介されている。子供や建物など、フジタが旅先で興味を持った対象物が興味深い。

2つめは、戦後、フジタの渡米を助けたフランク・シャーマンへあてた手紙。フジタの米国での生活がイラスト付きでつぶさに報告されている。「君江(奥さん)はレスリングを観るのを怖がっている」、「マディソン・スクエア・ガーデンにロデオ・ショーを観に行ってとっても興味深かった・・・」などなど、イラストがまたユーモアに満ちていて、ニューヨークでの生活をフジタが楽しんでいるのがビビッドに伝わってくる。人としてのフジタに触れられる。

このフジタ展以外にも、ポーラ美術館のモネ・コレクションから建築家中山英之による展示空間の中で紹介する「モネ-光のなかに 会場構成:中山英之」など面白企画がある。私のお勧めは「ラファエル・コランと黒田清輝―120年目の邂逅」。黒田清輝がパリで師事したコランの《眠り》(長年所在が不明だったが、数年前、パリ市内で発見されたとのこと)とその影響を受けたとされる黒田の《野辺》が並んで展示してある。類似点と相違点を見比べるのが楽しい。


〈左がコランの《眠り》、右が黒田の《野辺》。写真では繊細なタッチが全く映ってないのが残念〉

4連休中ということもあってか、今まで経験のないほどの来訪者だったが、それでも広い館内でゆっくり、涼しみながら美術鑑賞できる。ちょっとしたリゾート気分も味わえ、お勧めだ。


〈明るい館内〉
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