その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

プーシキン (著), 佐々木 彰 (翻訳)『ボリス・ゴドゥノフ』(岩波文庫、1957)

2022-11-09 08:23:19 | 

今月ムソルグスキーのオペラ〈ボリス・ゴドゥノフ〉を観に行くので、その予習として読んでみた。プーシキンの作品に触れるのは人生初。1598ー1605年のロシアのゴドゥノフ朝が描かれる歴史劇。

シェイクスピア史劇との類似性を感じる、個性ある登場人物、場の展開、科白に魅せられ一気に読んだ。

孤独で周囲の人間を信じられない皇帝ボリス、巧みに政治的に立ち回る側近シェイスキ、ミニ・マクベス夫人のようなマリーナ、野望の男グリゴーリ、そして気まぐれな民衆たち、人間が織りなすドラマ、人間像は今も昔も大きくは変わらない。

タイトルは皇帝となったボリス・ゴドゥノフであるが、必ずしも彼を中心に話が進むわけではないし、出番はボリスの政敵となった僭称者が一番多い。

この戯曲にどういう音楽が付いて、描かれるのか。オペラがますます楽しみになった。

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