今月ムソルグスキーのオペラ〈ボリス・ゴドゥノフ〉を観に行くので、その予習として読んでみた。プーシキンの作品に触れるのは人生初。1598ー1605年のロシアのゴドゥノフ朝が描かれる歴史劇。
シェイクスピア史劇との類似性を感じる、個性ある登場人物、場の展開、科白に魅せられ一気に読んだ。
孤独で周囲の人間を信じられない皇帝ボリス、巧みに政治的に立ち回る側近シェイスキ、ミニ・マクベス夫人のようなマリーナ、野望の男グリゴーリ、そして気まぐれな民衆たち、人間が織りなすドラマ、人間像は今も昔も大きくは変わらない。
タイトルは皇帝となったボリス・ゴドゥノフであるが、必ずしも彼を中心に話が進むわけではないし、出番はボリスの政敵となった僭称者が一番多い。
この戯曲にどういう音楽が付いて、描かれるのか。オペラがますます楽しみになった。