その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

伝統の強さ: ルイージ、N響、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」 @サントリーホール

2023-05-27 07:40:26 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

5月はA・Cプロを所用で行けず、チケットを家族・友人に譲ったので、本Bプロの一本勝負となりました。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンという古典派巨匠の三役揃い踏みプログラムです。

前半も良かったのですが、個人的には後半のベートーヴェンの「田園」交響曲が特に刺さりました。N響で何度も聞いている曲ですが、こうした定番名曲の演奏はN響ならではの歴史・伝統の重みを感じます。過去から歴代名指揮者たちの薫陶を受け、積み上げてきた土台があって、さらにその上に新しい指揮者と演奏者が新しい石を積み上げる。正統派なのですが、お決まりでない。そんな空気が音楽全体から感じられるのです。

ルイージさんの音楽はテンポや強弱の振りはあるものの、きわめてオーソドックスに聴こえます。N響メンバーの個人技とアンサンブルで、実に豊潤で繊細で時として剛毅な生きた音楽が生まれてきます。クラリネット、フルートのソロには痺れましたし、マロさん・郷古さんのダブルコンマスや、チェロも辻本さん、藤森さんのダブル主席が演奏し、弦のアンサンブルは重層的で張りがあります。若鮎のように、一つ一つの音が生きて飛び跳ねているのが見えるよう。至福の時間でした。

前半は、モーツァルトのホルン協奏曲第3番の福川さんのソロが素晴らしい。この曲、学生時代に思い出があり好きな音楽なのですが、実演に接するのは確か2回目。福川さんの柔らかで含みのあるホルンの音色とN響メンバーとのコラボを満喫しました。

1曲目のハイドンもアクセントある聴きごたえのある曲でしたが、昼間の疲れが溢れ、途中でダウン。ごめんなさいでした。

Twitter上で多く指摘されているとおり、ハプニングや問題もあった聴衆席であったのはその通りで残念でした。2000名前後の人が集まっているわけですから、なんかは起っちゃうでしょうが、最低限のマナーには気を付けて欲しいものです。




定期公演 2022-2023シーズンBプログラム
第1985回 定期公演 Bプログラム
2023年5月25日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]

サントリーホール

曲目
ハイドン/交響曲 第82番 ハ長調 Hob. I-82「くま」
モーツァルト/ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K. 447
ベートーヴェン/交響曲 第6番 へ長調 作品68「田園」

出演者
指揮:ファビオ・ルイージ
ホルン:福川伸陽

 

Subscription Concerts 2022-2023Program B
No. 1985 Subscription (Program B)
Thursday, May 25, 2023 7:00pm [ 6:20pm ]

Suntory Hall

Program
Haydn / Symphony No. 82 C Major Hob. I-82, The Bear
Mozart / Horn Concerto No. 3 E-flat Major K. 447
Beethoven / Symphony No. 6 F Major Op. 68, Pastoral

Artists
Conductor: Fabio Luisi
Horn: Nobuaki Fukukawa

コメント
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