久しぶりにシェイクスピア劇。個人的に最も好きな「マクベス」。芸劇では、ちょうど都民芸術フェスティバル開催中でN響公演日だったようだが、今日はエスカレーターを上らず、地下のイーストシアターへ。
演劇界に通じていない私は初めて聞く方なのだが、劇団はえぎわを主宰されていているノゾエ征爾さんの台本・演出である。
「彩の国さいたま芸術劇場では、2022年春、ノゾエを招いてシェイクスピアの『マクベス』を題材としたワークショップを実施。ワークショップでは「演劇を見慣れていない若者に演劇の魅力を知ってもらう」という目標を掲げ、ノゾエは親しみやすく、飽きさせない構成と演出で約100分の『マクベス』をつくりあげた。」(彩の国さいたま芸術劇場ホームページより)
翻訳は松岡和子さん版を使いつつも、ノゾエ氏により100分にまとめるため大胆にカットされたり、アレンジが施されている。ただ、観ていて、劇のスピーディな展開とテンポ良さは感じたものの、「ここを抜くか!」という違和感は無かった。確かに「飽きさせない」構成だった。
少し物足りなさという観点では、マクベス夫妻の関係性の変化(どの本か忘れたが、松岡さんの著述にあった、運命共同体であった夫妻関係からそれぞれが離れていく関係に変化)のプロセスという点での描写は弱かったかな。
舞台は木製椅子を多数(ぱっと見、20脚以上はあった)を組み合わせ様々な場に活用される。シンプルだか、観る人の想像力を掻き立てうまく作ってあるなあと思った。
役者では、マクベス夫人を演じた川上友里さんの血気迫った力ある演技が好印象。マクベスの内田健司さんはイケメンで格好良すぎて、野心と野性に満ちたマクベスのイメージと違った。最後のトゥマロースピーチは劇のハイライトとして十分盛り上げた。
冒頭や劇中に、スマフォやVR機器が使われたり、現代国際政治事情が挿まれた現代アレンジが施されている。ワークショップの目的のとおり、若者に親しみやすさを増すためだろう。個人的に楽しみにしている、4幕1場のマクベスが魔女に八人の王の幻影を見させられるシーンが、観客には見えないVR機器内で展開されるのは残念だった。ただ現代アレンジは、劇全体に対する影響度は大きくなく、原作の世界観を覆すようなものではなく、アクセント的に上手く使われていると感じた。
18時半に始まって、終演は20時15分。手軽に、久しぶりに〈マクベス〉が楽しめ満足。
日程
2024年02月17日 (土) 〜02月25日 (日)
会場:シアターイースト
原作:W.シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:ノゾエ征爾
出演
内田健司、川上友里、山本圭祐、村木 仁、町田水城、広田亮平、上村 聡、
茂手木桜子、菊池明明、踊り子あり