全国若手落語家選手権の本選なるものに行ってきたのだが、なかなか楽しいイベントだった。
もちろん真打達の芸は素晴らしいのだが、二つ目あたりの若手落語家さんは真剣だし、新作落語など新しい事にもチャレンジしたりして、違った楽しさがある。
紀伊国屋サザンホールでの本選では、勝ち残った4名の落語家がそれぞれ持ち時間20分で落語を披露し、6名の審査員と会場の聴衆の投票で優勝が決まる。審査員は25点、お客さんは1点の持ち点であるが、意思決定に参加できるのは、寄席やホールで聴く落語よりも、真剣度が高くなる。
四者四様の芸でとっても楽しかった。古典をやったのは一花さんだけ。他の3人は新作落語。うち笑利さんは上方落語。予選を勝ち抜いた4名ではあるがさすがに本選ともなると緊張するのか、過去に何度か実演に接したことのある一花さんも、いつもより硬さが感じられたのは気のせいだろうか。順番はじゃんけんで決まっているというが、順番による好不運もあるように感じた。前の人を受けて、まくらでどう自分のペースにもっていくか、瞬発力の世界だろう。
優勝は審査員票、聴衆票の双方で圧倒的な得票を得た吉笑さんが優勝。コロナ期に考えたという自作落語「小人十九」は、「言葉警察」のまくらから一貫した流れがある練りに練られたもの。大笑いの連続で、優勝は文句なしという感じだった。
採点結果の発表、審査員や志ん輔師匠の講評も愛と鞭のコメントでとっても楽しかった。勝ち負けが出る大会ではあるものの、会場はアットホームな雰囲気が満ち溢れていた。ほんわか気分一杯で会場を後にした。
2024年1月28日 @紀伊国屋サザンシアタ
転失気 枝平
神に誓って 笑福亭笑利
のめる 春風亭一花
小人十九 立川吉笑
変身 柳亭信楽
火事息子 古今亭志ん輔