その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

東京春祭プッチーニ・シリーズ vol.5 《ラ・ボエーム》

2024-04-15 07:30:33 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

東京春祭のオペラ公演(演奏会方式)第2弾、プッチーニ〈ラ・ボエーム〉を東京文化会館5階Rサイド1列から鑑賞。

ラ・ボエームはべたな恋愛青春讃歌がエモーショナルな音楽と併せて、私の大好きな演目。今回は、外国人出演者の方々も初顔合わせばかりで、どんな公演になるかとっても楽しみだった。そして、歌手陣、コーラス、オーケストラどれも素晴らしく、思いっきり感情移入しながら、この作品の素晴らしさを堪能した。

主要役柄を独占した外国人歌手陣は、誰もがとても力強い歌唱を披露し、流石と唸った。ロドルフォ役のポップさんは声量たっぷりのテノール。前半やや硬い印象もあったが、尻上がりに調子を上げた。4幕のミミとの死別シーンでは迫真の演技で、観衆を引き付ける吸引力が凄まじい。

ミミ役のザネッティも声量大きく、安定した歌唱だった。個人的にはムゼッタ役のバッティステッリさんの歌声が好み。巨漢たちに囲まれてアフリカの女子マラソン選手のように見える細身の体躯だが、若さを感じる張りのある歌声に痺れた。他のボヘミアンであるマルチェッロ役のカリアさん、コッリーネ役のタロシュさんの歌声も聴きごたえたっぷりだった。

オペラシンガーズ、東京少年少女合唱隊のコーラスも、いい仕事してた。

指揮のモランディさんも初めて。東響から情感たっぷりの音楽を引き出していた。演奏会方式のラ・ボエームは、2007年にサンティ翁とN響で聴いて以来だが、各場面での楽器の活躍が視覚的にわかるのが楽しい。コンマスのニキティンさんのリードが光る。

歌手陣の演技も入り演奏会方式ながら舞台装置が無いだけなのだが、これだけ優れた公演だと、これに舞台セットがついたら更にパワーアップしたことだろうと感じた。

唯一残念だったのは客席の入。5階席から下界を見渡すと、6割程度の入りで1階や2階の奥にはまとまった空席ゾーンも目立つ。幸い、熱の籠った好演に触れて、客席の温度感は十分高かったが、もっと入っていたら更に盛り上がっただろう。東京春祭、プログラムがとっても充実していて素晴らしいが、私もそうだが、お財布には限界があるので、皆さん公演選びに苦労されているのではないか。

(2024年4月11日)


(カーテンコール)


(ロドルフォ(テノール):ステファン・ポップ)


(ミミ(ソプラノ):セレーネ・ザネッティ)


ムゼッタ(ソプラノ):マリアム・バッティステッリ

東京春祭プッチーニ・シリーズ vol.5
《ラ・ボエーム》(演奏会形式/字幕付)

日時・会場
2024年4月11日 [木] 18:30開演(17:30開場)
2024年4月14日 [日] 14:00開演(13:00開場)
東京文化会館 大ホール

出演
指揮:ピエール・ジョルジョ・モランディ
ロドルフォ(テノール):ステファン・ポップ
ミミ(ソプラノ):セレーネ・ザネッティ
マルチェッロ(バリトン):マルコ・カリア
ムゼッタ(ソプラノ):マリアム・バッティステッリ
ショナール(バリトン):リヴュー・ホレンダー
コッリーネ(バス): ボグダン・タロシュ
べノア(バス・バリトン):畠山 茂
アルチンドロ(バリトン):イオアン・ホレンダー
パルピニョール(テノール):安保克則

管弦楽:東京交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊
合唱指揮:仲田淳也
児童合唱指揮:長谷川久恵

曲目
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》(全4幕) [試聴]
上演時間:約3時間(休憩2回含む)

Tokyo-HARUSAI Puccini Series vol.5
"La Bohème"(Concert Style/With Subtitles)

Date/Place
April 11 [Thu.], 2024 at 18:30(Door Open at 17:30)
April 14 [Sun.], 2024 at 14:00(Door Open at 13:00)
Tokyo Bunka Kaikan Main Hall

Cast
Conductor:Pier Giorgio Morandi
Rodolfo(Tenor):Stefan Pop
Mimì(Soprano):Selene Zanetti
Marcello(Baritone):Marco Caria
Musetta(Soprano):Mariam Battistelli
Schaunard(Baritone): Liviu Holender
Colline(Bass):Bogdan Talos
Benoît(Bass-Baritone):Shigeru Hatakeyama
Alcindoro(Baritone):Ioan Holender
Parpignol(Tenor):Katsunori Ambo
Orchestra:Tokyo Symphony Orchestra
Chorus:Tokyo Opera Singers
Children Chorus:The Little Singers of Tokyo
Chorus Master:Junya Nakata
Children Chorus Master:Hisae Hasegawa

Program
Puccini:”La Bohème”
Approx. 3 hours including intermissions.
 
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